1. はじめに

  平成14年(2002年)から中学校の音楽教育に和楽器が 取り入れら
れる。新指導要領実施を間近にして、各地の教育委員会でも和楽器の講
習会が行われ、教員養成大学においても、和楽器実習の授業が始まって
いる。
  講習会は半日の場合、90分〜120分。1日の場合でも3時間〜4時間
である。私が担当している奈良教育大学においても、邦楽及び邦楽的歌
唱を含む実習が90分×15×2期
  (前期・後期)である。
  それらの講座を進めるに当たっては、演奏技術の基礎基本が段階的
合理的に習得していけるような教材配列が必要である。指導を徹底させる
ための的確な表現や提示無くしては、年季がものを言うといわれている伝
統楽器の演奏技術を限られた時間の中で伝達する事など、到底望めるも
のではない。
  易から難へと進みながら、受講者が「これなら出来そだ。」との予感を持
ち続けられ、且つ、その時点での音を出す活動が楽しく、基礎基本が身に
付くような教材の配列を考えていかねばならない。
  わたしが初めて三味線の指導をしたのは、小学4年生が相手である。
彼らの反応は「楽しい」「つまらない」「難しい」「カッコいい」等正直で鮮や
かである。適切な支援によって、興味や根気を持続させることができれ
ば、素晴らしい力を発揮する。6年生の頃には「越後獅子」「勧進帳」等、
おとな顔負けのしっかりとしたバチ使いで演奏をするようになっていった。
  今、私が彼らから学んだ指導上の多くの事柄をここにまとめ、初心者が一日
も早く演奏の楽しさを味わための指導法として提案したいと思う。



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