移送費用について


支給対象

労働者が職場で作業に従事中、突発的な災害によって重傷を負ったり、あるいは急性中毒症を起こしたような場合には、
応急の手当てはともかくとして、通常は直ちに医療機関へ搬送して医師の診療を受けさせることが必要になります。
また、傷病労働者がその傷病の治療上の必要から転医したり、あるいは通院療養を受ける場合等、診療を受ける場合等、
診療を受けるために交通機関を利用する場合はきわめて多いといえます。

労災保険では、このように業務上の事由又は通勤による傷病を被った労働者が診療を受けるため等に電車、バス、車等で
医療機関へ赴くために要した費用について、政府の認める範囲でこれを移送費として保健給付することとしています。

1.災害現場から医療機関への移送
労働者が業務上の事由又は通勤により負傷し、又は疾病にかかったために、災害現場から医療機関へ当該労働者を
移送する場合がこれに該当します。

2.医療機関へ収容するための移送
自宅療養または通院療養中の労災患者の傷病の状態が悪化して、医療機関に収容する必要が生じた場合、
すなわち入院のための移送がこれに該当します。

3.所轄労働基準監督署長の勧告による転医のための移送
所轄労働基準監督署では、療養中の傷病労働者やその家族又は事業主等から当該傷病労働者の今後の療養について
適切な専門医に転医することについての相談を受けたり、また傷病労働者が応急的に担ぎ込まれた医療機関が患者の傷病に関して
専門外である等のために当該傷病に適した医療機関に転医させなければならないこともあります。
このような場合に、所轄労働基準監督署長が転医を必要と認めて傷病労働者に転医をすすめ、当該労働者がそのすすめられた
医療機関に転医する場合の移送がこれに該当します。

4.医師の指示による転医等のための移送
傷病労働者が医療機関で療養を受けている場合にに、医療機関がその傷病の診療に関して専門外である場合、
患者の傷病からみて、医療機関の諸設備では十分な診療ができない場合又は病状の経過がおもわくない場合等に
主治医の指示によって他の専門医の対診を受けたり、あるいは転医する必要が生じる場合があります。
また、主治医が傷病労働者の傷病の状態からみて、転地療養又は帰郷療養が必要であると認め、その指示により当該傷病労働者が
転地又は帰郷する場合もあります。これらの場合に、主治医の指示によって転医等を行う場合の移送がこれに該当します。
なお、この場合の主治医の指示とは、当該医療機関への転医等が療養上の必要性に基づく適切な指示であると認められる必要があり
担当医師との個人的なつながりや患者の希望を単に是認する等の理由で行われる場合は、移送費の支給対象とはなりません。

5.医師の指示による退院のための移送
医療機関に入院して診療を受けていた傷病労働者が、その病状が良好な経過をたどり入院治療を必要としなくなったため、
医師の指示により退院して帰宅する場合の移送がこれに該当します。

6.通院のための移送
通院療養の必要がある傷病労働者が、その通院の起点(居住地から直接通院する場合には居住地、勤務先から通院する場合には
勤務先)から、4キロメートル範囲にあるその傷病の診療に適した医療機関へ通院する場合(交通機関の利用距離が片道2kmを
越える通院に限ります)および4キロメートルの範囲内にその傷病の診療に適した医療機関がないために4kmを超える最寄りの医療機関に
通院する場合並びに所轄労働基準監督署長の勧告によって医療機関へ通院する場合については位相の範囲として
認められています。

従って客観的にみて最寄りのその傷病に適した医療機関があるにもかかわらず、正当な理由もなく恣意的に
当該医療機関より遠方の医療機関に通院するような場合の通院費については支給されません。


移送費用の請求(この用紙に記入します)
傷病労働者が、移送にに要した費用を請求する場合は、「療養費用請求書」に「移送費用の額を証明することができる書類」に添付して
所轄労働基準監督署長に提出します。この「移送費用の額を証明することができる書類」は、原則としては移送に関する費用を受領した者
が発行する領収書によることとされています。
しかし、電車、汽車、バスの運賃等領収書の交付を受けることが困難なものでかつ「療養の費用請求書」の診療担当医が証明する
項目のうち「療養の内容」欄の診療実日数によって、その費用の額を算定することができるものについては
領収書の添付を省略することができます。
また、診療担当医の指示によって、転医したり対診した場合に要した移送費を請求する場合には「療養の費用請求書」の
「ハ傷病の経過の概要」欄に、診療担当医がその指示を行った旨の証明を必要とします。

1.災害の発生後、救急患者を災害現場から当該医療機関へ収容する場合

2.所轄労働基準監督署長の承認を受けて、転医する傷病労働者を労災病院等他の指定医療機関へ移送する場合等に使用した場合の
移送費については、社会通念上妥当と認められる範囲内でその実費相当額が支払われます。






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