エピソード2 ノームの捜し物

                                                    4.奇妙な客たち

幻術師のノーム”さえずる小鳥”の奪われた「呪文の書」を、邪悪なクレリックのノール、ギガンから奪い返す仕事を依頼された冒険者たち。街道でギガンを待ち伏せて襲撃したが、護衛のオーク団に苦戦し、ギガンの魔法に翻弄され、ギガンを取り逃がしてしまいました。
傷ついた冒険者たちは、一旦”さえずる小鳥”の待つ町コーンへ向かいます。ギガンもコーンの方角に逃げた形跡がありました。
さて、コーンではどの様な冒険が冒険者たちを待ちうけているのでしょうか。


■コーン到着

DM:半年ぶりにようやく全員集合できました。正月休み期間を利用して「年忘れD&D大会」と銘うってエピソード2の後編をプレイしました。

満身創痍のダンカンの足に合わせて歩くパーティーは、炎天下の中2時間ほどかけて「コーン」に到着した。この小さな町で“さえずる小鳥”を探す必要はないようだ。宿屋は1件しかないらしい。“巨人の眠る丘亭”という酒場兼宿屋だ。

裏コメント:この半年の間に、実はエピソード3をシャドウ(Lynch)抜きで実施してます(詳細はエピソード3のリプレイ報告にて)。そのためダンカンとブラックは装備が変わっています。マジックアイテムを所持していたりしますので、攻撃ロールへの修正値など若干変更になります。ダンカンに至っては能力値の入替を行っているので、前編終了時よりHPが増えてます。まだみんな1レベルなので、プレイヤーのイメージに合うまでキャラクターの設定は変更可能で良いことにしています。


■“巨人の眠る丘亭”

外の入り口の傍に一人の男がうずくまって寝ている。中に入ると昼過ぎということで客は3人しかいない。

頭頂部がはげている赤ら顔の人のよさそうな店の主人がいる。

ダンカン:おやじ。怪しい奴を見なかったか?
DM:「見たよ。あんたらだ。」と主人。
ダンカン:たしかに。
ブラック:ドジョウのようなヒゲをたらしたノームが来ていないか?
DM:「ああ。うちの宿にいるよ。二回の宿部屋にいるんじゃないか?」と主人。

やはり”さえずる小鳥”はこの宿屋にいるらしい。

裏コメント:ドワーフとハーフエルフと仮面をつけた人間の組み合わせの冒険者は、まあコーン周辺ではめずらしいのでしょうね。しかも重傷だし。


■”さえずる小鳥”との再会

パーティーが“さえずる小鳥”の泊まる部屋を訪ねると…。
パーティーの苦労も知らずに“さえずる小鳥”はスカーっと寝ている。パーティーにたたき起こされた“さえずる小鳥”は、
「おお。勇者たちよ。我が「呪文の書」は取り戻してくれたかの?」とのんきに聞いて来た。パーティーはギガンを取り逃がしたことを告げた。

“さえずる小鳥”はパーティーと“巨人の眠る丘亭”で昼間から酒を飲みながら、テーブルの上にいくつかの品物を並べ始めた。

・ギガンのマントの切れ端
・いくつかの小瓶
・鞘にも柄にも見事な装飾が施されているショートソード

“さえずる小鳥”は上等なショートソードを差出し、「これを使える者がいれば、報酬の代わりにくれてやってもよいぞ。」と言う。パーティーは相談の結果、シャドウがショートソードを受け取った。その剣は【キーン・ショート・ソード】であった。吸い込まれるような冷たい輝きを放つ鋭い刃は、攻撃ロールの際のクリティカル発生率を上昇させるのだ。

裏コメント:元々の報酬が200gpとすると、【キーン・ショート・ソード】はどう考えてもサービスしすぎですが。しかし。ただでさえプレイする機会が少ないので、マジックアイテムをあまり出し惜しみしてもしょうがないと考えてます。

最後に机の上に残った小瓶が、パーティーお待ちかねのポーション≪キュア・ライト・ウーンズ≫であった。

DM:「1本20gpでどうじゃ?」と“さえずる小鳥”。
ダンカン:売るんかい?!
ブラック:2本で30gpだ。
DM:いや、これでもかなり安価なんだけど…。

激しい交渉の末、なんとか納得してくれたパーティーは各自ポーションを購入。ダンカンとブラックはさっそく1本飲んでHPを少し回復した。


■幻術魔法の兆し

しばらくテーブルで酒を飲んでいると、”さえずる小鳥”がパーティーにそっと告げる。

「この部屋に幻術の魔力を感じるぞ。わしもちょっとは名の知れた幻術師じゃ。間違いない。」
“さえずる小鳥”にわずかに残った魔力が働いたのか?幻術師としての勘か?

パーティーは”巨人の眠る丘亭”全体に注意深く目を走らせた。
自分たちと“さえずる小鳥”以外には、客が3人、店の主人、外で入り口の傍らにうずくまって寝ている男がいる。

パーティーが監察し、店の主人から聞きだした客たちの情報は以下のようなものだった。

『奥のテーブルの大男』
テーブルいっぱいの食事を一心不乱に食べ続けている。立ち上がると優に2mはありそうな大男だ。人間ではあるがその獰猛そうな顔がどことなくノールっぽい。パーティーはこの男がギガンなのではないかという疑念を抱いた。ダンカンが酒を手にその大男に近づいて話しかけると、大男は外見に反してオドオドした調子で受け答えをする。
店の主人曰く、「そいつは村一番の働き者モーンズだよ。 仕事を終えて昼過ぎになるとここで飯を食べるんだ。気の優しい奴だからいじめないでくれよ。」

『カウンターの男たち』
カウンターには二人の客がいる。一方の年配の男がかなり酔っているらしく大声で笑っている。横に座っている真面目そうな青年がうまくなだめている。店の主人も話を合わせている。
店の主人曰く、「年配の方は、村でも有名な酔いどれ男ロラ。真面目そうな青年の方はウマという名で、酔いどれ男の甥だという。最近となりの村から来たんだ。」

『外で寝ている男』
砂埃で白くなったボロボロの服を身にまとっている。肌も垢で黒くくすんだような色になっている。顔は伸びきったひげにおおわれている。
しばらくすると、店にふらっと入ってきてテーブルについて食事を注文する。ニヤついてなにごとか
ブツブツ呟いている。
店の主人曰く、「その男は昼頃に店に来たので水を一杯あげた。旅のせいでひどく疲れているようだった。クレリックだというので罰が当たると困るから邪険には扱っていない。」


■ギガンのマント=【クローク・オブ・エルヴンカインド(エルフ族の外套)】

酒場の壁際の服掛けにたくさんの服やローブなどがかかっている。ここの酒場では夫人が町の人や宿泊客の服の修繕をしているらしい。

ダンカン:トイレに行こう。
DM:ダンカンは、壁際の服掛けに”さえずる小鳥”が持っている布切れと同じ素材のマントを発見した。まさにギガンが着ていたマント。
シャドウ:「このマントはだれのだ!」と言って酒場の客たちの反応をうかがう。
DM:なに大声出してるんだ?といった感じでシャドウを見るだけ。
シャドウ:マントを奪う。マントに火をつけてやる。
DM:「お客さんからの預かり物なんだ。さわらないでくれよ!」と店の主人がシャドウから奪い返す。
シャドウ:このマントの持ち主はだれだ?
DM:「さあ、わからんね。服の修繕のことはかみさんに任せているからな。」と店の主人。「そろそろ買出しから戻るだろうから、その時に聞いてくれ。」

そんな中、”さえずる小鳥”が…

DM:「そうか!こいつは【クローク・オブ・エルヴンカインド(エルフ族の外套)】じゃ!こいつを身にまとって隠れると、あたかも道端におちている石ころのようにだれからも気づかれなくなってしまうのじゃ。」と”さえずる小鳥”。

パーティーが街道で襲撃した際も、この【クローク・オブ・エルヴンカインド(エルフ族の外套)】の力で逃亡したのかもしれない。

裏コメント:【クローク・オブ・エルヴンカインド(エルフ族の外套)】については、ルールブックに「<隠れ身>判定に+10」としか説明がないので。具体的な魔法効果の描写「道端におちている石ころのように〜」はアドリブです。
しかし、シャドウの行動は「善」なのか微妙…「混沌にして善」だからOKですかね。まあそもそも火をつける道具を持ってないので。


■クレリックのジェント登場

・”さえずる小鳥”曰く、幻術魔法がかかっているという酒場。
・服掛けのギガンのマント。
酒場の客と主人に対するパーティーの猜疑心は増すばかり。

そんな時。先ほど外から入ってきた汚い男がパーティーのテーブルに近づいてくる。

DM:ダンカンにふらふら近づいてくる。
ダンカン:な、なんだ?
DM:ダンカンの肩に手を置いた。
ダンカン:うわ。やられたのか?
DM:d8+2=(4)+2=6
DM:ダンカンのHPが6回復したよ。
ダンカン:え?

DM:「俺の名はジェント。ジェント・リィ・ウィープス。君たちが“善”の行いをしようとしているなら俺も仲間に加えてくれ。俺はクレリックだ。役に立つと思う。」と男は言った。
ブラック:俺たちが善人に見えたのか?
DM:…。

唖然とするパーティーをそのままに、ジェントは酒場の風呂を借りに行ってしまった。

裏コメント:やはりパーティーにクレリックがいないとつらいのでNPCで登場させました。将来的には88がDMの時はnigaのPCにする予定です。


■酒場の夫人買い物より戻る

カウンターにいた真面目そうな青年ウマが帰って行く。酔いどれ男のロラが「かみさんにもう少しで帰ると伝えてくれ〜」と言っている。

そして、ウマとすれ違うように「あー。すっかりおそくなっちゃったよ。」と言いながら店の夫人が買出しから帰ってくる。

DM:パーティーと”さえずる小鳥”の座るテーブルの傍を通る時に夫人が言う、「まあ、ちょうどいい生地があったもんだこと。その布をゆずって下さらないかしら。うちは服の修繕もやってるものだから。今日来たお客さんのマントの接ぎあてにちょうどぴったりなんですよ。」そして服掛けのギガンのマントを指差す。
シャドウ:あのマントの持ち主はだれだ!
DM:「ああ。それは…。」と夫人。
ダンカン:それは?
DM:「さっき店に入る時にすれ違った青年だよ。」と夫人
シャドウ:ちくしょう。ウマか!

その時!シャドウの鋭敏感覚が何かの物音を聞きつけた。音のした方に目を走らせると、少し開いた窓の外から毛皮に覆われた太い腕が伸びている。その腕がギガンのマントを引っ張り出そうとしているではないか!そしてマントが外に引っ張り出されてしまった!

裏コメント:お待たせしました。これより以降は、リプレイ形式での紹介になります。



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