2007年9月21日(金) 近藤なつ子が一般質問しました。

  インターネット中継のWEBサイトもあります。大要をお知らせしますが、質疑の順序は変更してあります。)

質問項目
  1. 対策を打つべき対象者について
  2. 高齢者の安否確認強化について
  3. 高齢者の熱中症対策、防寒対策についてて
  4. 介護保険外サービスを実施について
  5. おわり

●近藤なつ子
質問する近藤区議
 日本共産党区議団の近藤なつ子です。
 高齢者施策について一般質問いたします。
 最初に、高齢者の孤独死を発生させないための取り組みについて伺います。
 9月8日付けの週刊誌「東洋経済」では、「小さすぎる福祉国家ーー老後不安大国」という特集が組まれました。広告には、「新宿区 では3日に1人が孤独死」などショッキングな見出しがおどっていました。実際、新宿区が把握している孤独死は、人口動態統計等のデ ータにより年間100人程度と推測されていますし、生活福祉課では、ここ数年年間で60人から70人程度、そのうち約3分の2が高齢者 であることがわかっています。確かにただ事ではありません。私が活動している若松・榎の地域は、65歳以上の高齢化率が20%を超 える地域です。200世帯くらいのある町会では、今年の7、8月に3人もの方が、いわゆる孤独死をされたというのです。
 「孤独死」の定義は、辞書によると「一人暮らしの人が誰にも看取られる事無く、当人の住居内等で生活中の突発的な疾病等によって 死亡する事。特に発症直後に助けを呼べずに死亡するケースがこのように呼ばれる。」とあります。新宿区は昨年9月より全庁をあげ 「孤独死防止対策連絡会議」を立ち上げ、対応しようとしていることは評価いたします。しかしながら、さらに、いくつか改善すべき と思う点がありますので以下質問いたします。

対策を打つべき対象者について  ページのトップへ

  第1の質問は、対策を打つべき対象者についてです。
 本区が孤独死対策として対象者にしているのは、「2週間ごと程度に見守る者がいない、独居または高齢者のみ世帯の高齢者」となっ ています。このような定義で本当によいのでしょうか。
 医療機関の全国組織である「全日本民医連」が今年3月15日に発表した「孤独死実態調査」の報告があります。2006年の1月から 6月までの期間で、掌握できた99件について調査、医療という側面から分析・研究しています。その報告では、孤独死が起きやすい環境 として、高齢者(特に後期高齢者)、独身男性(配偶者との死別を含む)、親族が近くに住んでいない、定年退職又は失業により職業を もたない、慢性疾患をもつ、アパートなどの賃貸住宅(隣家に無関心)などが上げられていますし、低所得者や生活保護世帯が多いことも 特徴となっています。高齢者のみの世帯の多い新宿では、高齢者に絞って対策を考えるにしても、見守りの間隔が2週間程度空いている方 と限定することは、実態にあわず、必要な対策が導き出せなくなるのではと心配です。対象者については再検討し、拡大すべきではないで しょうか。
 
 
◎ 健康部長
 はじめに、高齢者の孤独死対策についてのお尋ねです。
 まず、対策を打つべき対象者についてです。区は昨年度から孤独死防止対策連絡会議を設置するなど孤独死防止対策の検討を進めてき ました。孤独死と言っても、公的な定義があるわけではなく、検討会で様々な意見が交わされた中で、2週間ごと程度に、見守る方が いない、独居または高齢者のみの世帯を防止対策の対象者としました。
 ご指摘の点については、今年度、開催予定のシンポジウムでは高齢者に限らず対象者を広げて議論する予定です。国を含め、孤独死 防止対策はまだ端緒についたばかりであり、対象者についてもさらに検討を進めていきたいと考えています。
 

高齢者の安否確認強化について   ページのトップへ


●近藤なつ子
  第2の質問は、高齢者の安否確認を強化すべきということです。
 1つ目の対策として、社会的孤立、地域からの孤立を最小限にし、高齢者の異変にいち早く対応するために、あらゆるツールを活用する ことです。96年に廃止された「福祉電話」は、近隣に親族等がいない、かつ地域との交流に乏しい65歳以上の病弱なひとり暮らしの 高齢者に対して毎日の電話訪問を行っていました。このような事業の復活も検討すべきではないでしょうか。
 また今年度から東京都水道局が試験実施している、ひとり暮らしの親の水道メーターに通信機能をつけ、その使用状況をメールで家族に 送信する「見守りサービス」や、東京ガスもガスメーターの使用状況を家族にメール送信するサービス「みまもーる」などライフラインを 活用した安否確認が広がっています。送信する家族のいる方への周知はもちろん、身寄りのいない高齢者については区が責任をもって対応 するなど、異変の早期発見につなげるべきではないでしょうか。
 区内でアパートを経営しているある大家さんから、6軒あるアパートで約2年に1件のペースで孤独死が発生しているので、1人暮らし の方には「毎日の新聞を取っていてほしい」とお願いしている、という話を先日聞きましたが、 なかなかうまくいかず困っておられました。
 そこで安否確認の対策の2つ目として、賃貸住宅に住む高齢者に対し、どのような対策が求められているのか、区内に物件を持つ大家 さんや管理人さん、不動産業界にも意見を聞き、必要な対策を講じるべきではないでしょうか。高齢者がアパートを探してもなかなか 貸してもらえないという話はよく聞きますが、孤独死の心配が一定解決されれば高齢者の住宅確保も前進するのではないでしょうか。
 大家という点では区も区立住宅の大家です。わりと最近の住宅では、水道メーターによる異常の通報がされているところもありますが、 古い都からの移管住宅などでは独自の対策はどうなっているのでしょうか。この点も含めお答えください。
 孤独死対策の3つ目の質問は、高齢者のリスクを把握し、直接対応している区の部署の中で、とりわけ地域包括支援センターや高齢者 サービス課、保健センター、生活福祉課などの担当職員をさらに増やし、高齢者に対しきめ細かく対応することです。
 先の調査報告でも、医療・介護関連の職員により高齢者の異変や孤独死を発見するケースは少なくありませんでした。高齢者は増え続け ていますが、区で高齢者に直接対応する職員数は、どうなっているのでしょうか。介護不安、医療不安、生活不安など沢山の悩みを抱え区 民は暮らしています。困難なケースも現場では増え続けています。区として責任をもって高齢者が尊厳をもって生き続けられるよう、 区職員を増員し支援を強めるべきと思いますが、お答えください。

◎ 健康部長
  次に、高齢者の安否確認の強化についてです。
  「福祉電話」事業の復活についてのご提案ですが、一人暮らし高齢者への情報紙の訪問配布事業、生活保護世帯を対象とした高齢者単身 生活見守り事業、ごみの訪問収集等、新たな見守りの仕組みに全庁挙げて取り組んでおり、現状では復活は考えていません。
 さらに、水道やガスなどのライフラインを活用した見守り事情などについては、高齢者相談の窓口を通じてきめ細かく周知活動を行って まいります。
 次に、賃貸住宅にお住まいの高齢者の方についてです。賃貸住宅にお住まいの高齢者も区内には大勢いらっしゃいます。見守り事業の PR活動について不動産業界など関係者に協力を呼びかけるなど、より一層、広く連携していきます。
 また、区立住宅における独自の対策については、シルバーピア住宅において、日常的に、安否確認や緊急時の対応がとれる体制を築いて います。東京都からの移管住宅を含めたその他の住宅についても、熱中症対策として、高齢者世帯を中心に熱中症予防の喚起のチラシを 配布し、さらに、高齢者のみの世帯等に対しては、職員が電話による安否確認を行うなど取り組んだところです。 今後とも、必要に応じて同時の対策をとっていきます。
 次に、職員の増員についてですが、高齢者福祉部門の業務量の増加に対応できるよう、今年度は委託設置の地域包括支援センター9ヶ所 の職員を各所1名ずつ増員したところです。
 また、区職員については、今後も高齢社会の進行に対応するため、必要な部署に必要な人員を配置していきます。
 
 

高齢者の熱中症対策、防寒対策について   ページのトップへ

暑すぎてバテそう
●近藤なつ子
  次に、高齢者の熱中症対策、防寒対策についてお伺いします。
 今年の夏は大変な猛暑が続き、病弱だったり体力のない高齢者が、自宅にいながら熱中症にかかるという事態が起こりました。 最悪のケースとして死亡する事例も発生しており、これも孤独死につながっています。そもそもクーラーがない生活を送っている世帯も ありますが、電気代が出せないなど経済的な理由で、適切な対応ができない方もいると思われます。暑さだけでなく寒さも、虚弱な高齢者 にとっては健康に直接影響します。熱中症対策などの適切な知識の普及とともに、実態調査を行い、経済的な支援を含め対策を講じるべき です。
 また、生活保護世帯では老齢加算の廃止や夏冬見舞金の廃止で「クーラーを使いたいけど使えない」などの悲鳴が寄せられています。 生活福祉課で把握している人数で直接熱中症とはいえませんが、昨年の7,8月は4人だった孤独死が、今年の7,8月は10人と増えて います。特に生活保護世帯への対策は廃止された老齢加算や夏冬見舞金を区独自で復活させるなど抜本的に行うべきです。お答えください。

◎ 健康部長
 次に、高齢者の熱中症対策、防寒対策についてのお尋ねです。
 高齢者の熱中症への取り組みとしては、例年、訪問時や窓口において注意を喚起していますが、今年の夏の状況を見ますと、対策の強化 が必要であると考えています。
 今年度の取り組みとしては、区ホームページや区内の掲示板での周知をはじめ、「熱中症に注意しましょう」というチラシを、シルバー ピア入居者全員にワーデンを通じて配布したり、地域包括支援センターの職員が相談や訪問時などに、室内の風通しを良くし、室温上昇の 抑制やこまめに水分補給することを広く呼びかけました。
 今後も、地域包括支援センター・民生委員・地域見守り協力員が連携を図り、見守り体制を強化すると同時に、地域の虚弱な高齢者の実 態把握に努め、防寒対策も含めた対応策を強化してまいります。
 また、経済的支援を必要とする状況にある場合には、福祉に繋ぐなど、高齢者部門だけではなく、住民と関わるそれぞれの部署で、対策 を講じていきます。


◎ 福祉部長
 次に、生活保護世帯への老齢加算と夏冬見舞金についてのお尋ねです。
 老齢加算は、60歳代と70歳以上の消費支出額を比較すると、70歳以上の消費支出額が低いこと、また、70歳以上の消費支出額と 被保護者世帯の基準額を比較すると、生活保護基準額の方が高いことが認められたことから、平成16年度より3年間で段階的に廃止にな ったものです。
 この廃止は全国一律に行われたものであり、老齢加算を区独自で復活する考えはありません。
 次に、区の夏冬見舞金についてですが、慰労や激励などの事業目的により支給してきましたが、施策の公平性などの観点、、また、 生活保護基準が一般勤労者世帯の消費支出の70%と、ほぼ一定の水準を保っていることなどにより、平成14年度に廃止したものであり 、復活する考えはありません。

介護保険外サービスを実施について   ページのトップへ


●近藤なつ子
安心して暮らしたいね  最後に、介護保険に関連して質問します。
 9月17日の「毎日」新聞、東京版に、渋谷区が介護保険で認められた介護以外にヘルパーサービスなどを区の予算で2008年 1月から独自に提供することが報道されていました。渋谷区長は「昨年の介護保険改正による『給付抑制』が区民に影響を与えている。 不都合な部分を区の施策で修正した」と話しています。追加されるサービスは、計5種類ですが、1つだけ紹介をしますと、同居家族 がいて生活援助サービスが制限されている区民に、家族負担を軽減するために、このサービスの利用回数を増やすことと同時に、 「通院の付き添い」「散歩や近隣施設への外出介助」「同居者の食事準備」は現行では認められていないが生活実態に合わせ提供する そうです。渋谷区では「ヘルパーサービスなどの充実は、『引きこもり』をなくす効果があるし、認知症の予防や孤独死を減らす上 でも重要」と言っています。
 私たち日本共産党区議団はこの間、高齢者のくらしをトータルに支援するために、自立型家事援助サービスの復活・改善、 入院生活を支えるためのヘルパー制度、介護保険で対応できない場合のヘルパー支援制度などを一刻も早く行うべきと要望してきま した。お隣の渋谷区でもこのように思い切った対策をとっているのです。年を重ねても、介護や治療が必要になっても安心して住み 続けられる新宿にするために、実施に踏み切るべきです。区長の見解を求めます。

◎ 健康部長
 次に、介護保険で対応できない場合のヘルパー支援制度などを渋谷区のように実施すべきではないかとのお尋ねです。
 昨年の介護保険制度の改正では、制度の基本理念である自立支援を促す必要から、軽度者への保険給付を見直し、新たな予防給付が 創設されました。
 区では、制度改正の趣旨を踏まえ、回復支援家事援助サービスという新たなヘルパー派遣制度を創設しました。
 さらに、新宿区独自の取り組みとして、ちょこっと困りごと援助サービスなど、高齢者の皆様の日常生活を支える事業を展開してい ます。
 したがって、ご指摘のような制度の導入は考えていませんが、今後も、高齢者の生活実態を注意深く見守り、必要な支援を行ってま いります。


●近藤なつ子
   <最後に、討論をしていますが、詳細は後日記述します。>

終わり   ページのトップへ


    

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