Rock’in my Soul


失恋とイジメでぼろぼろになった中学時代。

そして、第一希望でない学校に通うことになり、絶望的な気分で新しい制服に袖を通した高校の新学期。

そんなあたしを救ってくれたのがロックだった−


 ことの始まりは高校入学後3ヶ月ほどたったある日のこと。
 あたしが所属していた部活動の男の先輩方の間で、翌月に控えた学祭に向けてバンドをやろうという話が持ち上がったのだが、どうしても女性ボーカルだけが見つからないということで先輩があたしに声をかけてきた。
「今度オレら学祭でPERSONZのコピーバンドをやることになったんだけど、お前ロック歌える?」
「PERSONZですか?あー、7Colorsしか知りませんけど・・・」
「1曲でも知ってるんなら十分十分。」


 これがあたしとロックの付き合いの始まりでした。
てなわけで、ここではあたしが比較的影響を受けたミュージシャンについていくつか紹介していきたいと思います。




THIN LIZZY(シン・リジィ)

 大学時代一緒にバンドをやっていたカトーくんが教えてくれたバンドです。はじめにアーティスト名を聞いてCD屋で探した際、”S”のところを探したら全然見つからなくて途方にくれたという話は置いといて(笑)、アイルランド出身の4人組バンド(時期によっては5人だった時もアリ)。アイルランドのロックバンドといえばU2を思い浮かべる方が多いでしょうが、そのU2
「多大なる影響を受けた。」
とあちこちで公言しているのがこのバンドです。
 アイルランド出身であることに誇りを持ち、アイルランド民謡や民話をモチーフにした曲作りと、なおかつ誰もがすぐに口ずさめる覚えやすいメロディーはバンドの核であるボーカリスト、フィル・ライノット(以下フィル様と書きます)によるところが大です。なお、フィル様はすでに故人となっており、今年でちょうど没後20年を迎えますが、今聞いても全然サウンドは古くありませんね。そして、曲作りのセンスのよさと共にウリなのが、2人のギタリストによるツインギター。どちらがリードギターでどちらがリズムギターということもなく、2人ともメインのメロディーを取ってそれは美しいツインギターサウンドを奏でます。後年はややへヴィメタル寄りのサウンドになっちゃったけど・・・・・おかげでCD屋に行くとHR&HMコーナーに置いてあることが多くて、そのため誤解されがちです。歌も楽曲も歌詞もすごくいいのにもったいない。

 ところで、このバンドは実はベーシストがボーカルを取っています。フィル様がベース兼ボーカルということになるわけですね。なので、ステージに立つ時はフィル様が真ん中に立ち、2人のギタリストがその両脇を固めて華麗なギターハーモニーをつむぎ出すというスタイルになるわけでして、そこがまたよいのです^^
 もちろんフィル様のベースも最高です。聞く人をノリノリにさせるグルーヴ感いっぱいのベースを、歌いながらよくあれだけ弾けるもんだ〜。ベース兼ボ−カリストを目指す人は、ぜひフィル様を見習わなければいけません。いや、ベースだけでなくギター兼ボーカリストもキーボード兼ボーカリストも・・・・・とにかく、楽器やりながら歌う人はみんなフィル様を見習え(笑)。それくらい好きだしオススメです。アルバム「ブラック・ローズ」のジャケ写をモチーフにしたTシャツなんか売ってたら絶対買っちゃいます(もちろん、Tシャツの色は黒ね)。
 手っ取り早くこのバンドの概要を知りたいのでしたら聞くのはベスト版の「ワイルド・ワン」がよいでしょう。でもって、このバンドらしいツインギターをを堪能したいのでしたら”ヤツらは町へ”や”アリバイ”、美しいスローバラードにどっぷりつかりたいなら”それでも君を”がオススメです。つうわけで、みんな聞け(笑)。

SMASHING PUMPKINS(スマッシング・パンプキンズ)

 略称スマパン。ニルヴァーナと並んで称される1990年代前半を代表するアメリカグランジロックの雄。楽曲のほとんどを手がけ、スキンヘッド&超個性的な声質が魅力なヴォーカル&ギターのビリー・コーガンと、日系アメリカ人ギタリストのジェイムズ・イハの2人がとかく注目を浴びがちですが、個人的には紅一点ベーシスト、ダーシー様(ここでも様付け^^;)も重要な役割を担っていたと思います。もし彼女以外がベースを弾いていたらこのバンドはここまで成功しなかったでしょう。彼ら独特のあのうねるようなグルーヴ感はダーシー様のベースによるところが大きいと思います。彼女にあこがれてベースを始めたロック小僧はかなり多いとにらんでいますが、さてどんなもんでしょうか?
 余談ですけど、学生時代にあたしがいたバンドーサークルで彼らのコピーをやっていたバンドがあったのですが、バンド名が「パイナップル・パンプキンズ」でした。恥ずかしくって略せません。つうかそれを狙ってバンド名をつけたとしか思えない(笑)。




 ・・・・なんか、「ベースがどうの」っていう文章が結構多いですね。でも、それはある意味致し方ないんですよ。学生時代あたしはベース兼ボーカルだったモンで、どうしてもベーシストとしての耳で曲を聞いちゃうんですよね。そういうわけなので、まあ、そのあたりは大目に見てくださいまし。




※2008年10月23日加筆

・The Presidents Of United States Of AMERICA※彼らについて書かれたページを発見できなかったため、リンク先は設定しておりません

 日本語訳するとまんま”アメリカ大統領”。これでバンド名です。あまりにも長すぎるため、音楽雑誌などでは「プレジデンツ」とか「PUSA」と表記されたりしてたけど・・・・
 さて、彼らは1993年にアメリカはシアトルで結成されたオルタナ系ロックバンドで、メンバーはジェイソン・フィン(G)、クリス・バルー(B、Vo)、デイヴ・ディーデラー(Dr)の3人。でもって、なんでこんなバンド名になったのかというと、その理由がふるっていて
「ステージ上でバンド紹介されるときに”アメリカ大統領の皆さんです!”と紹介されたらウケるから。」

f^_^;・・・・・なんとも人を食ったようなネーミングですが、食っているのはバンド名だけじゃありません。曲もまたキテレツで、歌っているのは
「田舎に引っ越して桃が食べたい(”PEACHES”)」
とか
「ふざけるなにゃんこF○○K BABY!出て行って外で寝ろ!(”KITTY”)」
などの、およそ社会派メッセージ性とは程遠いおバカソングだらけ。でも、歌詞のナンセンスさとは裏腹にメロディメイキングはかなりのものです。一度聞いたらすぐに鼻歌で歌えるキャッチーなものばかり。なお、”PEACHES”も”KITTY”もPVがYou Tubeにあります→”PEACHES”はこちら。”KITTY”はこちら
 でも、何よりも彼らを彼らたらしめているのはその使用楽器。ギターは弦が3本しかなく、ベースは2本しかないんです。そして、ドラムセットも何やら数が足りないし・・・・彼らいわく
「少ない弦やタムでどれだけの音楽がやれるか実験してみたかった。」
「オレらのやりたい音楽には6本弦のギターとかは合わないんじゃね?」
・・・・・まあでも、これだけ変則的な楽器でこれだけの音を作れるのはある意味立派だ。
 でもね、彼らが日本にツアーに来たときにあたしライヴに行ったんだけど、ジェイソンの使っているギターには実はちゃんと弦が6本張ってありました。やはり3本弦では限界を悟ったのかジェイソン!(笑)

 こんなインパクトのある彼らだったのですが、2、3枚のアルバムを出した後
”ハイ、このアイデアでバンドやんの終わり〜”
と言わんばかりの、まるで期間限定ユニットのようなあっけなさで解散してしまいました。でも、この潔さもある意味彼らの魅力ではあった。
 そして、ある世代の特定ジャンルの音楽好きには強烈なインパクトを与えたバンドなのでありました。

※加筆部分 ここまで


少年ナイフ

 結成は意外に古く、1981年。大阪在住の女性3人により結成されました(1人脱退して現在は2人)。実は世界でもっとも有名な日本のバンド・・・・・らしいです。出すアルバムはアメリカ版、イギリス版、オーストラリア版など各国バージョンに加工されて発売され、海外ライブはすでに20回近く。彼女達の曲をカバーしているアーティストは坂本龍一ソニックユースなど国内、海外の大物がズラリと並び、ニルヴァーナとは一緒にイギリス全土ツアーを敢行したこともアリ。そんなすごいバンドなのに日本での知名度はなぜかイマイチで、ライブもドームを満杯にするようなところでやるのかといったら全然そんなことはなく、100人も入ればいっぱいになるような小さなライブハウスが主体です。あたしも行ったけど、彼女達の眼球の動きや顔にかいてる汗のしずくまでくっきり見えるような、そんな小さなライブハウスでした。しかも少年ナイフ単体のライブじゃなくて、他にも対バンがいくつもあるライブでの演奏だったし(さすがに出演順はトリです)、入場の時なんか後ろの観客用出入口から入って来てました。でもってみんなに握手攻め&さわられまくってたし(プロレスラーの入場みたい^^;)。世界的な知名度を誇るバンドとは思えない観客とのこの近さはある意味すごいです。あ、もちろんあたしも握手してきましたよ^^
 そんな彼女達の魅力は何かと言いますと、これがまた複雑でひとくちには言い表しにくいのですが、あえて言えば二重三重にも深読みできるアイロニカルで奥深い歌詞と、あと、楽曲全体からただよってくる
”何でもありだよーん”
的な
”乾いた元気”
とでもいうようなモノでしょうか。ウエットな感性の持ち主が多い日本人の中においては珍しいというか、あまりいないタイプですね。

 ちなみに、さっき「日本での知名度は低い」と書きましたが、それでもいちおう何曲かはコマーシャル曲として流れたり、テレビ番組のテーマ曲として使われています。ヤムチャロウのCMとかアニメのテーマソングだったバナナチップスとか、あと最近なら−196℃のお酒のテーマ曲とか。

 興味のある方は今度じっくり耳を傾けてみてくださいませ。


X−RAY SPEX(エックスレイ・スペックス)

 1970年代後半に結成されたパンクバンド。メンバーは女性ボーカル(アルバム録音時14歳!)と楽器担当の男4人の計5人からなっているのですが、メンバーの一人はなんとサックス奏者。パンクとしては非常に異色です。なんかスカみたい。
 ところで、あたしが大学1年生のときに学祭の企画モノバンドとしてこのバンドのコピーをしたのですが、最初にあたしにその話が来た際、バンドサークルの女の先輩キミコさんいわく
「このバンドさあ、ボーカルがナッキーちゃんにそっくりなんだよねえ。だからぜひナッキーに歌ってコピーしてもらいたいの。みんなもそう言ってるよ〜。」
 おおお、なんかあたし随分買われてるじゃん。そんなに期待されてるんならぜひ喜んでボーカルを勤めさせていただきますって感じで快諾し、CDをお借りしたわけなんですが、家に帰ってパッケージを開け、歌詞カードを開いた瞬間目に飛び込んできたのは、巣鴨あたりにたむろするおばちゃんのような大仏的チリチリ頭のショートヘアーに、歯には歯列矯正器具をがっちり装着したボーカル嬢。
”え?・・・・・あたしにそっくりって、まさかこのルックスじゃないよね?”
ええ〜?って感じで激しく疑問を抱きつつそのジャケットを眺め回すあたし。ちなみにこの頃のあたしの外見は、髪こそ茶色とワインレッドを混ぜたような色に染めてはいたが長さは普通に肩下くらいあったし、第一、歯に矯正器具はつけていない。
”じゃあ、何があたしに似ているんだろう。声かな?”
ってんでさっそくCDを聞いてみたのですが・・・・・なんか、キティちゃんがくしゃみをしたような甲高い声というか元プリンセスプリンセスの奥居香(現・岸谷香)の声をもう少し高くしたような声というか、とにかく、声も自分に似ているとは思えませんでした。
 それで翌日、おそるおそる聞いちゃったんですよ。
「キミコさん、私、このボーカルの人にほんとに似てるんですか?」
「似てるよー声が!」
笑顔で即答するキミコさん。

・・・・・白状するけど実はあたし、それまで自分の声を”つるつるの癒し系美声”だと思ってました。でも、他人はそうは思ってなかったのねf^_^;

 もちろん今では大好きですよこのバンド。そして肝心の学祭限定コピーバンドの方も、キミコさん他のリクエスト通りあたしがボーカルを務め(サックスはジャズ研究会から助っ人を頼みました)、それなりに好評を博しました。今思えば、自分のボーカルになんとなく自信みたいのが生まれたのはこの時からだったかもしれません。

PATTI SMITH(パティ・スミス)

1970年代に一世を風靡したニューヨーク・アンダーグラウンド・パンクの女王。彼女を取り上げるとなればデビューアルバムの”ホーセズ”や、”これぞパンク!”的名曲の「ロックンロール・ニガー」、あとブルース・スプリングスティーンとの共作でヒットを飛ばしたポップチューンの「ビコーズ・ザ・ナイト」を取り上げるのが筋でしょうが(この2曲は3rdアルバム「イースター」に収録されてます)、ここではあえて知人の家で見た名もなきライブビデオの映像を紹介したいです。

 その時彼女が歌っていたのは「サマータイム・ブルース」。この曲はエディ・コクランが1958年に歌って大ヒットした曲です。いろんなアーティストがカバーしており、もはやロックスタンダードともいえるロックの古典ですが、オリジナルよりもザ・フーが歌ったものの方が有名ですね。
 でもってパティ・スミスはバックバンドを従えて革ジャン&Gパン姿でこの曲を歌っていたんですが、意外なことに、この時彼女はギターを所持して歌っていました。というのも、彼女はこの世界ではどちらかというとヴォーカリスト&詩人として有名であって、楽器をやるというイメージではなかったからです。それで、
”珍しいなあ。パティがギター弾くのかあ。どんなギターを弾くんだろう”
と楽しみにしながらライブビデオを見ていました。ちなみにその時はまだ彼女は楽器に手を触れてはおらず、
”ただギターを首からぶらさげてるだけ”
状態。それで曲はどんどん進んでいったのですが、いつまでたってもパティはギターをかまえず、両手でスタンドマイクを握りしめて歌っているだけ。
”おいおい、いつになったらギター弾くのよ”
あたしは内心不安になってきたけれど、ビデオ視聴者のそんな不安にもおかまいなしに曲は進行していきます。もちろん彼女は未だに1度もギターに手をつけてません。そうこうしているうちに曲はいよいよ終わりに近づき、それでもギターに指1本触れる気配すらないので
”おお〜い!そのギターは単なる飾り物かー!”
内心激しく突っ込みを入れようとした瞬間、曲の最後の和音が
”ずぎゃぁぁぁぁああああああぁぁん!”
と鳴った瞬間にようやくパティはギターをかまえて
”じゃかじゃかじゃかじゃかじゃ〜ん”
とコードを弾きました。それで
「最後だけかよ!」
とビデオ見てた人全員で大爆笑しながらそれでもそのラストを見ていたのですが、よーく聞いてみるとなんか音が変。すごい濁った不協和音が響いてきます。
”なにこの不協和音?”
と思ってさらに耳をダンボにして聞いてみたら−

不協和音の原因はパティ・スミスでした。だってあのとおりギターのフレットを押さえたら不協和音にしかなんないもん!(笑)

 でも、そんな風に楽器は全くダメにもかかわらず、このビデオのパティ・スミスはカッコよかったんです。それは、上手いヘタ以前に
”あたしは表現したいんだ〜!”
っていう情熱があたし達リスナーにビンビン伝わってきたからなんでしょうね。そんなわけで、このビデオを見て以来、あたしの音楽におけるスタンスは
”情熱と表現欲さえあれば、テクニックは必要最小限でOK”
になりました。いや、練習不足をごまかす言い訳じゃないんですよマジで(笑)。



 こんなトコロかな?他にももちろん好きなバンドや影響を受けたアーティストはいます。つうか、あたしをよく知っている方だと
「あのバンドとかこのバンドについて書いてないじゃん。どうしたの?」
っていうのが絶対出てくると思います。でも、今回は”好きでなおかつレビューをおもしろく書けるアーティスト”に絞って書いたので、こういう顔ぶれとなりました。何とぞご理解くださいませm(__)m


 さて、話は高校時代に戻ります。


 そんなわけで入学当初は非常に落ち込んだ学校生活を送っていたあたしだったのだが、ロックバンドに誘われてボーカルを務めたことで、学校生活が楽しいものに変わった。その後は髪をワインレッドに染め(まだ茶髪なんて言葉がなかった頃の話です)、学校の中で酒を飲んで男の先輩方にくっついて歩いてバンド&音楽にうちこむようなはみ出し娘になっちゃったけど^^;・・・・それでもあたしはずいぶんと救われた。そして、あたしに声をかけてくれてこんな素晴らしい世界を教えてくれた先輩に感謝し−

いつか、その気持ちは恋心へと変わっていった。

先輩もあたしの気持ちに気づいていたと思う。

けれども、その時先輩には公認の彼女がいた。

それも、先輩と彼女は1年生時に同じクラスになり、まもなく付き合い始めて一緒に誘い合ってその部に入ったほどの濃やかな仲だった。

そして、あたしは知っていた。

この2人は肉体関係もたびたびのいわゆる”オトナの仲”だということを。

その事実は15歳のあたしにはあまりにもつらくて重く、耐えられないものだった。

そして、その日も学校の中で抱き合っている2人を見てしまい、向こうもあたしに気づいて−






・・・・・でもってここから先がまたあたしの修羅の道f^_^;の始まりなんでございますが、その後の話については今回は割愛させていただきます。気が向いたら書くけど・・・・もし書かなかったらその時は
”ああ、なつき気が向かなかったんだな”
と解釈して、笑って許してやってくださいまし(笑)。