全日OBOG会in東海〜なつき生演隊史上最悪のピンチ!?(その2)


自分のよい子さぶりにすっかり満足。すると、
「やぁなつきお疲れー」
目の前のエスカレーターから礼服にアコーディオンをしょったキャオさんが降りて来た。
「あ、キャオさんお疲れ様でーす」
あわてて立ち上がってぺこりと頭を下げるあたし。
「いやー今日知り合いの結婚式があってさー、ここの51階で演奏して来たんだよー」
「ご、51階、ですか?」
「うん。なんだけどめちゃくちゃ緊張したから酒飲んでから演奏してさぁ」
……確かにキャオさんにしては饒舌(笑)
「んで、この後やる二次会が実は明日俺等が一次会やる場所と同じでさー」
そこまで話した時
「こんにちわー」
ぎゃああああ!
後ろからいきなり声が。
 振り向くとそこにはニコニコ笑顔の村重様が立っていた。
「なんで何の前触れもなく後ろから現れるんですかっ!」
「やあ荒木君久しぶりー」
「お久しぶりでーす」
 驚き冷めやらぬあたしをよそに和やかに挨拶するお二人。全く村重様ってばおちゃめなんですからf^_^;そして
「じゃあー、名古屋駅待ち合わせ組がそろったから、行きますか」

てなわけプラットホームへ移動しました。で、ボーッと電車を待っていると、村重様があたしに話しかけてきた。
「その恰好って、寒くないの?」
……寒いんですか?このくらいで?え?何で!?
 一瞬質問の意味がわからず動揺するあたし(村重様スイマセン)。
 ていうか、名古屋着いた瞬間からずうーっと思ってたんだけど、どうしてみんなこの程度の寒さで足首まで届くカシミヤのロングコート着て、首にキツネ毛とかウサギ毛のえり巻き巻いてるの!?変だよ〜それ。んな重装備は最高気温(←最低気温ではありません。最高気温です)マイナス5℃とかの日にするもんじゃん。朝家を出る前に新聞読んだけど、今日の名古屋の予想最高気温はプラス7℃だって?それならGジャン羽織ってりゃ十分よっ!
 だけどほどなくして、変なのはどうやらあたしの方らしいことに気付いた。
 というのも、今度は岡崎駅でつくいさんと落ち合ったんだけど、その時にやはり
「なつきその恰好寒くないの?」
と聞かれたからだった。
……あたしが悪うございましたf^_^;北海道人の常識で物事を考えちゃいけませんね。

 てなわけで岡崎駅からは4人でタクシーに乗り、キャオさん邸に到着。そしてキャオさんが玄関の扉を開けると、あたし達は続けて中に入った。
「失礼しまーす」
「お世話になりまーす」
 新築の木の匂いが気持ちをとても落ち着かせる。そこへキャオさん夫人智美さんと香澄嬢がお出迎え。
「どうぞー。ゆっくりしてってくださーい」
香澄嬢はおかーさんのひざにまつわり付き、とってもかわいい。
てなわけで、リビングを通って奥の部屋に案内された。
 ふぅぅぅぅう。
腰を下ろしてしばらくぼーっとしてると、智美さんがあったかカフェオレを入れて持って来てくれた。
「あ、どうもすいませーん」
 なんだけど、すぐには飲み物に手を付けず(智美さんごめんなさいf^_^;)、
「やべーよー。明日どうすんだよー」
みたいな軽口を叩きながら、おもむろに楽器を取り出して練習しはじめる村重さんとつくいさんとあたし。
 そうこうしているうちに、キャオさん邸に車で直でやってくることになってたいっしーさんが到着した。
「こんばんわー」
「石崎くんお久しぶりー」
玄関でそんなやりとりをしているのが聞こえる。
「ま、どうぞあがってあがってー」
まもなくこっちへ向かう足音があたりに響き渡り、そして
「こんばんわー」
だあああああ!
あたしの真後ろのフスマが開いた。
「このフスマって、押し入れの扉じゃなかったんですかっっ!」
「廊下に通じる扉だよ」
「何だー。さっきわざわざリビングを通んなくてもよかったんだー」
 またも後ろからいきなり声をかけられてとまどうあたし。なんか今日のあたしって、背後を取られてばっかり。

 で、すっかりぬるくなったカフェオレを一気に流し込んだその時
「そしたら5人そろったし、行きますか」
てんで、手早く荷物を整え、あたし達+智美さん&香澄嬢は近所のカラオケ屋に向かいました。もちろん歌うのが目的ではありませぬ。明日の生演奏の練習のためです。
 そんなわけで個室に入り
「なんか狭くないかオイ」
みたいなことをボヤきながらセッティングを始めるあたし達。そして、今度はおとーさんにぴとっとくっついて離れない香澄嬢。
「香澄、父さんこれから練習だけどどうする?隣の部屋にいるお母さんの所に行くかい?」
「おとーちゃんのそばがいい」
かっわいいなあ(^-^)

 てなわけで、あたし達が練習をしてる横で、おもちゃのコンサーティーナ(こんなの↓)
アコーディオンの親戚です。(この写真は本物
香澄嬢がもっていたのはおもちゃ。

を大事そうに膝に抱え、足をぷらぷらさせながらちょこんと座っている香澄嬢でありました(まあ、じきに智美さんに別室に連れ去られましたが)。
 そんなわけで練習の始まりです。
 いきなりマロセイキの合奏から始まり、以後ショタ、サンタリータと続いていくのでありますが、
「おいおい、マロセイキこんな遅いスピードでやってもまだだめかいf^_^;」
「つくいくんショタでそんな妖しいバイオリン弾いてたの!?(笑)」
「ギターの音めちゃくちゃ割れてるよ〜」
「ショタは昨日初めて手を付けたんですよ〜スイマセン」
「俺やっぱCould I〜で弾きながら歌うの無理だわ〜。荒木くんよろしくf^_^;」
一曲合奏が終わるごとにこんなやり取りが交わされて行きます。
 なんだけど、このカラオケ練習での一番のヤマ場は何と言ってもマロセイキの一番最後のソロ・クラリネットでしたね。
♪ラレーレ、ファ♯、ミファ♯ミレド♯レミ
というあのフレーズ。
 曲の途中でたとえ誰がどんなに間違いまくっていても、ここさえビシッとキメれば取りあえずはギャラリーに許してもらえるってくらい重要な部分だと思っているのですが、やはりみなさんも似たような考えをお持ちのようで、そこが近づいてくるとつい村重様の方に目線が集中しちゃうんだよね。
”来るか?来るか!?”
って。
 村重様にプレッシャー与えるよなあとわかっていてもついやっちゃうんだよね。すいません村重様。でもだってあのフレーズ大好きなんですもんf^_^;こうして練習はどんどん進んで行きました。
 でもっていちおうカラオケ屋は3時間の予約で取っていたんだけど、これだけの大人数が長時間狭い所に固まってとどまっていると、なんか精神的に煮詰まってくるんだよね。