二ヶ月前。 「店長、この日休みもらいたいんですけど」 俺は、カレンダーの六月第二日曜日を指差しながら、頼んだ。 「あれ、お前も? 参ったな、この前 「 「そうか、姉さんの。それじゃ、仕方ないな」 「大丈夫っすか?」 心配顔で尋ねると、店長は快く休みを承諾してくれた。店長はまだ若い。三十二、三らしい。 オープン当初からバイトしている俺とは、結構ウマが合っている。 俺の彼女、 レジに買い物かごが置かれる。 「いらっしゃいませ」 慣れた手つきで商品を扱う。 一人が終わると続いてもう一人。近所の高校生らしい。何度か、見かけたことがある。 おつりを渡すと、いつものように「ありがとうございました」と声をかける。二人に続く客はいない。 「あの〜〜」 その二人組は、ひじでお互いをつつきながら、声をかけてきた。 「はい?」 「えっと……付き合っている人とか、いるんですか?」 二人はしきりに照れている。俺はちょっと考え込んでから、ゆっくり答えた。 「あぁ、まぁ」 曖昧に答えてしまった。まだ、浅いからな。 「あ、そ、そうですよね。いないほうがおかしいですよね」 いや、そうでもないけど。この前まで完璧にフリーだったし。曖昧な笑みを浮かべる俺。 「ご、ごめんなさい。でもまた来ます」 二人は交代に早口で喋りながら、後ずさりをすると、くるっと足並みをそろえて、バタバタと店から出て行った。 日曜の午後二時を少し回ったところ。杏の姿はない。今日は友達と買い物に行くんだって言っていた。 バイト始めたばっかで、連休取っちゃうのも、かわいいから許される? その考えちょっと甘いよな。 |