人生最大の危機が訪れた。なんていうと大げさすぎると笑われるかもしれないけれど、
初めて正式に付き合うことになった彼女の親に、今日は会わなければならないんだ。 彼女と知り合ったのは、バイト先のコンビニ。ショートカットがよく似合う、笑顔の可愛い女の子。 くりくりとした大きな目に長いまつげ、色白で小柄な女の子。 わがままなところもあるけれど、それもある意味、魅力のひとつ。 彼女の家は、そのコンビニの近くにあるらしいけれど、まだ行った事はない。 俺の家はコンビニから車で飛ばしても十分は軽くかかる。 俺の住む町は、県庁からは程遠く、車でも、一時間はゆうにかかってしまう。 はっきり言っちゃえば田舎。 町内には、二十四時間営業のコンビニはない。バイトしているそこは、隣町。 それもつい一年程前にオープンしたばかり。 俺の住む町で、一番遅くまで開いている『フード&リカー北川』は、親友の家で、 それでも午後九時には閉まってしまう。 不便なことも多いけれど、結構この町が好き。 彼女とは高校は別。俺は自分ちの近くの工業高校、機械科の二年。 彼女は、電車通学でそこよりちょっと都会(笑)の普通科高校の一年。 彼女は俺のことを、 身長百七十八センチメートル。体重六十キログラム。髪は手は加えてないけど赤茶。ちょっとロン毛。 自分で言うのもなんだけど、都会じゃ、十人並みの顔だとしても、ここら辺じゃ、かなりイケてる。 そのあだ名の由来は、俺の名前「 これは、いささか不満。彼女に本名は言ってない。こっぱずかしい。だから、彼女の中では俺は でも、それも今日まで。親に会うことも本名を知られることも、すごい偶然から始まったことなんだ。 |