その時のがんは、早期発見の前立腺がんでしたので、手術して完治しました。しかしその2年後、今度はスキルス性胃がんの宣告
を受け、緊急手術で胃を切除しました。執刀した医師からは 「発見が半年遅れていたら、今ここにいないよ。拾った命と思って残りの
人生を大切に」と言われました。作者との約束を果たすには、まだまだ多くのハードルを越えなければならないようです。でも、根っから
の楽天主義者ですから、「何とかなるし、なるようにしかならない」を座右の銘にして、必ず来る別れの時は対応したいと思っています。
そよ風に乗って マネージャーの独り言は、これでお別れです。ありがとうございました。
4年前の6月から、アトリエ作者のエッセイコーナーを担当してきました。そして今回で50回目となるのを機に
最終回と致します。次回からは、また違った角度から、作者の作品や花についてのエッセイを始める予定です。
独り言が50回で4年でしたので、倍の100回(8年余)を目標にします。百花繚乱という言葉がありますが、
作者の描いてきた100種類の花(百花)からそよいでくる風をイメージして、「百花のそよ風」というコーナーに
します。100回続けば、作者も私も80才に達しています。それまで二人とも健康でこのそよ風のアトリエ作成に
関われているか、全く分かりません。どちらか一方がその生を終えれば、このアトリエはそこが最終回です。
独り言の第一回は作者との出会いでした。最終回は別れの時についてのお話です。
冗談半分で「俺より先に逝ったらその時は大々的に遺作展をやってあげるから。来てくれた人達皆~んなに好きな
絵をあげちゃうよ」と言ったこともあります。作者からは20年ほど前に「お願いだから私を看取って」と言われま
した。作者は1才年上ですが、日本では女性の方が長寿ですし、夫を見送る妻の方が圧倒的に多く、作者より長生き
できるとは思っていませんでした。ところが、「私より先に死なないで」と言われれば、そうだなあーと思うのです。
絵を描くことには長けていますが、それ以外の生きていく術を持っているかというと、はなはだ疑問です。そこで
考え直し、作者よりも長く生きて看取ってあげる、と約束しました。
そのことを朝日新聞に投稿したところ、その投稿が採用され2008年12月の紙面に載りました。
そ よ 風 に 乗 っ て (マネージャーの独り言) 吉沢 武久