そ よ 風 に 乗 っ て   (マネージャーの独り言)
                                     
吉沢 武久

第 48 回   野 の 花    (2022年 5月 1日)

  ところが、長い長い年月が流れ、花を描く水彩画家のマネージャーが第2の職業となると、話は変わります。この

絵描きさん、ホトケノザもそうですが、好んで野の花を描くのです。見たことはあるし、よく知っている野の花です

が、その名前を知る必要に迫られました。
 
 ナガミヒナゲシ、ハルジオン、ヒメジョオン、カラスノエンドウ、ムラサキツユクサ、ドクダミ・・・どの季節に

どの花がどこに咲くのか、作者の要求に応じているうちに、花の名前と共に分かるようになりました。

 子供の頃は、何の興味も関心もなかったこうした野の花たち、それなりに可愛くきれいと思えるようになったのは

職業柄のせいかもしれませんね。

 (マネージャーの独り言はあと2回、50回を持って終了する予定です。新たなページを検討中です)

  「ねえマネージャー、ホトケノザってどこかで手に入らない?」一年で一番寒い2月某日、アトリエ作者から声を

 掛けられました。マネージャーになる前(12年前)だったら「ホトケノザ?何それ」と問うていたでしょう。

  でも、ベテラン?マネージャーともなると、「ああ、畑にいくらでも咲いているよ」と即座に答えられるのです。

 私は茨城県のど真ん中、筑波山と霞ヶ浦の間に位置するM村で生まれ育ちました。家の周りは田んぼや畑、里山です。

 それらの自然は格好の遊び場でした。カブトムシ、クワガタなどの昆虫を捕ったり、フナやワカサギ、ドジョウ、ザリ

 ガニ・・・小川の小動物も捕まえました。長男で末っ子なので、二人の姉にもよく遊んでもらいました。一番多かった

 のはママゴトです。そのママゴトをするのに使う野の花を摘んでくるよう命令されました。四季折々、あちこちで咲く

 野の花はたやすく見つけられました。でも、どれ一つとしてその名前は知りませんし、知ろうとも思いませんでした。

 知る必要がなかったからです。

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