「絵を描く基本はスケッチだ」と常々おっしゃる作者ですが、実際に見たとおりに描いてないのが不思議に思えるのです。
植物図鑑のように細密に描くボタニカルアートまでは求めませんが、コスモスなら正確に8枚の花びらを描いて欲しいので
す。ところが、作者の描くコスモスで花びらが8枚のものはほんの僅かで、7枚か6枚がほとんどで、時には平気で5枚も
描いています。(5枚だったら秋桜でなく、春の桜ですよ)
数字にこだわる理数系の私とは違って、全く逆の文系作者はそんなことにはあまりこだわってはいないようなのです。さ
すがに、5枚の花びらのユリの絵は無かったのですが、その内これは新種のユリ?と思える5枚、4枚の花びらを持つユリ
の作品が、登場するかも知れません。
「四つ葉のクローバー見つけたよ。ほら4つも」と得意げにアトリエ作者に見せる。「まあ、よく見つけられるわね」
紫陽花のきれいな市内の公園で、作者のスケッチに同行したときのことです。「私がスケッチしているとき、あなたは
何をしているの?」 「することはいくらでもある。例えば、四つ葉のクローバーを探すとか・・・」と言って実際に
探してみせる。一説によれば、三つ葉5,000~10,000本に1本の割合というから、僅かな時間で4つも見つ
けるのは、プロ級の腕です。実はコツがあるのですが、内緒にしておきましょう。
この四つ葉のクローバーに限らず、植物には本来の姿や持っている特徴と異なる物が、よくあります。作者の描く花
に限っては、花びらの数がその一つです。今月号トップの彼岸花やユリは6枚、コスモスは8枚です。大きな花びらを
持つユリや複雑な形の彼岸花には、6枚以外の花びらを持つ花はめったにありません。ところが、本来は8枚の花びら
ですが、コスモスはつける花数も多く、7枚だったり9枚だったりする花はいくらでも見つけられます。
そ よ 風 に 乗 っ て (マネージャーの独り言)
吉沢 武久