畑のタチアオイ

そ よ 風 に 乗 っ て   (マネージャーの独り言)
                                          
吉沢 武久

第 38 回   タ チ ア オ イ    (2021年 7月 1日)

  梅雨に咲く花は紫陽花ばかりではありません。タチアオイもその一つです。そのタチアオイを我が家のベランダで

 育てたことがありました。現役時代でしたので、20年以上も前のことです。垂直に真っ直ぐ伸びる茎に付く赤や白

 の清楚な花に惹かれたからです。多年草ということで、毎年楽しめるかと思いきや、一年でダメになりました。ベラ

 ンダには不向きの花のようです。

  5年前から畑を借りたことで昨年の春、コスモスと一緒にタチアオイの種も蒔きました。芽は出たものの、ぐんぐ

 ん伸びるコスモスに埋もれてしまい、20~30センチぐらいで成長が止まり、小さな白い花を2~3ケつけただけ

 で終わりました。好きな花なのにベランダに続き、畑でも失敗です。

  冬に入ると畑の作物や花達は一切なくなり、茶色の土一色になります。翌年の収穫や栽培のために土を耕し、堆肥

 や元肥を施して土作りを行います。その作業中のことです。畑の一隅に4~5枚の緑の葉を付けたタチアオイが残っ

 ているのに気づきました。多年草ということを忘れていたので、危うく鍬を入れてしまうところでした。  

  こうして、かろうじて残ったタチアオイが今年の春になると、昨年とは見違えるほど大きく成長したのです。梅雨に

入る頃咲きだし、てっぺんの花が咲くと梅雨が明けると言われていることから、梅雨葵との別名があるとか。

 昨年はコスモスに圧倒され縮こまっていたのがウソのように今年は、早咲きのコスモスを見下ろすまでに成長しまし

た。それどころか、一つの株から白とピンクの花の茎が出たのです。しかも白は一重でピンクは八重咲きです。こんな

事が起こるのでしょうか?理由は分かりません。

 アトリエ作者にタチアオイのエッセイを書くので絵を描いて、とお願いしました。作者からは「やってみるけど描け

るかどうか分からない」との返事。実はタチアオイの花を描いて欲しいとお願いしたのは、これが2度目です。最初は

30年以上も前になります。単身赴任していた地方都市でのこと、仕事の取引先やお客さんを接待したり、打ち合わせ

に利用するお店がありました。そのお店の名前が「葵」でした。「葵」にはとてもお世話になっていたので、店の名前

にちなんだ葵の絵を贈りたかったからです。

 作者は快く引き受けてくれて、そんなに時間を要せずに赤いタチアオイに可愛い子供を添えた作品を仕上げました。

でも今回は「難しい、特に八重は・・」と言って、畑から採ってきた白やピンクのタチアオイを前にしても筆は進まず、

このエッセイにタチアオイの絵を紹介することが出来ませんでした。作者は近所の民家の前で見つけた赤いタチアオイ

を写真に撮ってきて挑戦はしたようです。絵の代わりにその写真を付けておきます。

 さて、タチアオイの作品がホームページに載る日は来るのでしょうか?そしてその日がいつになるかは不明です。