そ よ 風 に 乗 っ て   (マネージャーの独り言)
                                         
吉沢 武久

第 36 回   野 の 花   (2021年 5月 1日)

  豊橋美術博物館でのアトリエ作者展覧会が終わって一ヶ月が過ぎました。計画当初、美術館に申請した書類の入館

 予定者数は300人でした。ところが予想を遙かに上回って900人以上の来館者となりました。受付けで来訪者の

 対応をしながら、その動きを少し興味を持って見ていました。桜をメインにした展覧会なので出展54作品中桜の絵

 は半数近くで、その作品の前で足を止める方々が多かったのは納得です。

  ところが、その桜以上に時間をかけてじっと見つめる方が多かった作品があります。野バラ、ドクダミ、野ブドウ

 といった野の花なのです。作者が好んで描くモデルの花達です。そこで立ち止まる理由を知りたいのですが、じっと

 見ている人に声をかけるわけにもいきません。ある方からは「これは何という花ですか?」と聞かれました。

  私も作者と出会う前は野の花の名前はほとんど知りませんでした。生まれ育ったのは茨城県石岡市、自然豊かな田

 園地帯で畑や里山があり、どこにでもあって採ろうと思えばいくらでも採れた野の花。でも名前は知りませんでした。  

  作者の故郷も長野県佐久市で、私の故郷と似たり寄ったりの田舎です。でも作者は女の子、私と違って野の花には

小さい頃から興味があったようです。

 花屋さんの店頭には並ばないので、買うことが出来ない野の花ですが、水彩画教室講師となってからは描くように

なりました。その作品を見て初めて知る花の名前はいくつもあります。そしてその美しさも。野バラの作品を初めて

見た時は、こんなに綺麗な花だったのか、と感動しました。ドクダミもアザミもツユクサも野ブドウもそうでした。

 野の花の作品で足を止めた方々も、普段は人目につかないところで密かに咲いている花が、主役となって展示され

ている事に驚いているのではないか、と想像しました。名前についてはナガミヒナゲシという花(今月トップにある

オレンジ色の花)があります。繁殖力が強い花で今の時期、街中でもよく見かけます。私にはどうということのない

花なのですが、作者にとっては可愛い魅力的な花で水彩画教室のモデルにもなりました。(なので畑で育てています)

 他にもヨウシュヤマゴボウ、サンキライ、ヒルザキツキミソウなどの花も名前がわかりました。マネージャー職を

今後も務めていくと、年々覚える野の花と畑で育てる花が増えていきそうです。