そ よ 風 に 乗 っ て (マネージャーの独り言)
吉沢 武久
今から50数年も前になります。学生時代に東京で下宿していたときの話です。当時、フォークの女王と呼ばれていた
森山良子さんのコンサートに出かけました。歌う曲の合間に軽いトークがありました。その中に今でも鮮明に覚えている
花のダジャレがあったのです。
「私この花が大好きなの」「えっ、そうなの。私の姉もね(アネモネ)」 「その姉って変わってるの。冷蔵庫の中
に花を活けてるのよ。ヒヤシンス」 「私の家ではトイレにいつも花を飾っているわ。水仙」・・・・・
我が家でもアトリエ作者が時々トイレに花を飾ります。先日はピンクのユリが一輪飾ってありました。その強い香りは
トイレ芳香剤の定番、金木犀をはるかに上回って良い匂いでした。
私の臭覚は鈍感で、作者のそれに遠く及びません。でも、この金木犀だけに限っては、私の方が敏感です。我が家のマ
ンション入り口横に金木犀の木が一本あります。毎年秋になると花をつけ、芳香を放つのですが、まだ蕾の青いうちから
私はその香を感じます。ところが作者は、相当花が進んで満開にならないと感じないようなのです。これは不思議です。
さて、今回紹介した作品にはバラが多くありました。バラの香というと、思い出すのがこれも50数年前の映画、ロミオ
とジュリエットです。ジュリエット役のオリビアハッセーが、それはそれは可愛くて、お小遣いが少ない高校生だったのに
3回も見に行きました。そのジュリエットが、恋するロミオへの思いの丈を夜のバルコニーで独白するのです。
「おお、ロミオ、ロミオ!あなたはどうしてロミオなの?お父様を捨てて下さい、名前もお捨てなさい。・・・中略
私たちがバラと呼んでいるあの花の名前がなんと変わろうとも、美しい香りに違いないはずよ」
ロミオとジュリエットの恋は悲しい結末で終わります。でも二人がお互いに心の思いを伝え合ったあの場面に、バラの香
がとても素敵にふさわしく用意されていたのです。バラの香を感じる度にあのジュリエットの言葉を思い出すのです。
今回申し合わせたわけではないのに、奇しくも作者もトップページで「花の薫り」を記しています。初めての出会いから
今年でちょうど50年・・・ですか。