先月号では「あじさい」の最後の一節を紹介しましたが、その前を付け加えます。

 《 煙雨けむる緑の中に  くっきりと浮かび上がる  すき透ったパープルブルー  

   雨の中に咲いてこそ美しい このあじさいの花  少女の好きな花だという  》

 少女、雨、青い紫陽花、淡い恋、半世紀前・・・松本先生とほぼ同じですが、違ったのは先生は思い出として

 少女と紫陽花を心に記憶、私はその少女が伴侶として傍らにいる、ということでしょうか。

  いずれにしても青い紫陽花は素敵です。半世紀前の少女はその時と変わらず、6月・7月は紫陽花と対峙し、

 多くの作品を生み出しています。梅雨が長かった分、今年はその作品数も多くなりました。  

  7月26日、日曜日の朝日新聞投稿欄に長崎に住む松本医師の「紫陽花のときめき」という文章が載りました。

 松本先生、72歳ということで私と同年代です。「紫陽花が好きだ。それも青に限る。」という書き出しで始まる

 その文章から、年代だけでなく同じような淡い恋を経験し、同じような思いを紫陽花に持っていることを知りまし

 た。「きれいな青ね」雨の日の初デート、少女が道端に咲く紫陽花に弾んだ声を発した・・・・半世紀以上も前の

 高校生時代のその恋は成就せずに終わったようですが、毎年6月になると青い紫陽花の鉢を買い求めるといいます。

 文章の最後はこう綴られています。 {やはり青い紫陽花は、道端にぬれてたたずむのが一番美しいと。}

  私とアトリエ作者との間にも紫陽花が深く関わり合っています。先月号で書きましたが、私の淡い恋心が真剣な

 恋へと進んだのは、作者の誕生日にプレゼントした詩集「少女の好きな花」がきっかけでした。その少女の好きな

 花が紫陽花でした。 

そ よ 風 に 乗 っ て   (マネージャーの独り言)
                                     
    吉沢 武久

第 27 回   紫 陽 花  (2020年 8月 1日)