そ よ 風 に 乗 っ て (マネージャーの独り言)
吉沢 武久
時代は変遷し、令和元年10月の朝日新聞投稿欄に職業を「主婦 」と書くことに疑問視する意見が載りました。
私は立派な職業と思っています。さらに、33年前にうらやましいと思っていたその主婦業に、第二の仕事として
就くことができたのです。
楽しいです。本来「主夫」としたいところですが、少し格好つけて「マネージャー」としているだけです。
「かなりの割合で女性の性格を持っている」については、機会があればお話ししたいと思います。
前回のこの欄でアトリエ作者が次のように述べています。
「 彼はマネージャーという肩書きをつけ、仕事と称してせっせと家事を行います 」
この件について今回、私の考えというか思いを記します。
今、手元に33年前私36歳の時に出版された本「女と男」朝日ソノラマ社刊 があります。市販された本で
唯一私の文章が載っている本です。それは朝日新聞の投稿欄、テーマ談話室という紙面に掲載されたものを編集
した本です。私の投稿が採用されました。その全文を次に示します。
「家事とはこんなに素敵な仕事か」
妻が2月に待望の長男を出産した。次女が生まれた後、9年目の快挙である。本人は36歳の高齢出産を
気にしていた。あまり体の丈夫なほうではないからである。お産は比較的楽な部類だったが、産後3ヶ月を
過ぎて育児疲れでダウンしてしまった。妻の仕事がこちらにまわってきた。
出勤前の洗濯、朝食の用意。会社帰りに買い物、夕食の支度、おむつの取り替え、沐浴、寝かしつけ、夜
中の授乳等々。中一の長女、小三の次女の助けを借りながら2週間あまりの日々を過ごした。
その実感、主婦業は素晴らしい仕事である。これほど実力と個性を出せる仕事も少ない。体力もいる。知
力も決断力も、そして一番必要なのは愛情のようだ。
女性が社会に出て男性と対等に仕事を持ちたい気持ちを理解できないではないが、一企業人となれば企業
のために働かざるを得ない。ところがこの主婦業は家庭という自分の愛する者のための仕事である。朝に夫
や子供を気持ち良く送り出し、夕には優しく迎える。利益追求の仕事ばかりしてきた者にとって、この労働
は大変な新鮮さと感動を与えてくれた。これを生涯の仕事にできる女性がうらやましい限りである。