とりわけ、この季節になるとアトリエ作者は、桜に対して特別な思いを抱くようです。精神的にも高揚して

 春の到来を喜ぶ花のように生き生きとしています。

   願わくは 花のもとにて 春死なむ その如月の 望月のころ と西行法師が詠んだのと同じ心境にでも

 あるのかな、と思われるふしもあります。過去には桜前線の北上を追って、関東、東北、北海道へと桜の名所

 を辿る旅に出掛けたこともありました。

  作者に問えば、断然桜が好き、と答えるはずですが、梅に対しても熱き思いがあります。幸い豊橋には向山

 梅林園という身近に行ける梅の名所があります。20分程で園内をぐるっと一周できる敷地内に、早咲き、中

 咲き、遅咲き約30種類の梅が400本程植えられています。家から10分で行ける距離なので、よく散策に

 つきあいます。まだ一輪も咲いていない寒い1月から始まって、少し蕾がふくらみかけた時など、誰一人いな

 い園内を嬉しそうに歩きます。「この状態が可愛いのよ!」と満開が綺麗と思っている凡人にはとうてい理解

 できない言葉を口にします。

 ある年のことです。豊橋では珍しい強い雪が降り出しました。「雪の中の梅を見に行くわよ!」

 「こんな日に?」と尻込みする私に車を出せと迫ります。渋々、降りしきる雪の中を梅林園に行ってみると

人っ子一人いるはずもありません。でも、そこには雪を被った梅の景色がありました。何枚かの写真は撮って

いたようですが、滅多に見られない雪の日の梅を作者は、心のカンバスにスケッチしたのでしょう。

 「梅は木の幹が素敵なの。でもうまく描けない」そう言う作者、今年は花より幹を描いていた姿を見ること

が多かったように思えます。その梅に区切りを付けて作者は今、今年の桜に対峙しています。

そ よ 風 に 乗 っ て   (マネージャーの独り言)
                                          
吉沢 武久

第 11 回   梅 と 桜  (2019年 4月 1日)
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   日本全国各地の梅便りが、毎日のように報じられていた3月初旬の土曜日でした。我が家で購読している

 朝日新聞に、興味深い特集記事が載りました。「梅と桜、どちらが好きですか?」と読者モニターに問うた

 結果を発表した記事です。何人の人に聞いた結果なのかは、示されていませんでしたが、桜が好きな理由の

 トップ「華やかさ」を選んだ人の数が、969人ということから推定すると、2000人ぐらいでしょうか。

  結果は桜76%、梅24%ですから、桜が好きな人が圧倒的に多かったことになります。もっとも、この

 設問に対して、「梅、桜それぞれの味わいがあり、二者択一にはなじまない」という意見もあったようです。

  さらに。桜以外に観賞する花を聞いたところ、次のような順番になっています。(8位まで)

  バラ、アジサイ、梅、藤、コスモス、ツツジ、菜の花、チューリップ

  このアンケート結果を見てびっくり、これに百合でも加えれば、なんとアトリエ作者が大好きな花10選

 を発表したのかな、と勘違いしてしまいそうです。