そ よ 風 に 乗 っ て (マネージャーの独り言)
吉沢 武久
9年前の定年退職で単身赴任は解消し、結婚記念日も共に過ごせるようになりました。その3月25日は
私にとっては特別な日であり、離れて過ごした現役時代でも忘れたことは一度もありません。でも、作者は
こうした記念日には無頓着というか、気にしないタイプのようです。電話でその日であることを伝えると、
「忘れてた。ごめんなさい」のフレーズを毎回聞かされました。また、まれに運良くその日に帰宅できた時
には、花束を携えて帰るのですが、「何?どうしたの・・・?」一瞬の間を置いて「あっ、そうか」と思い
出すのです。
今年はこのエッセイを読むでしょうから、先ず忘れることはなく、その日の夕食はさぞご馳走が並ぶこと
を期待しましょう。でも、約一ヶ月後ですからいつものごとく「ごめん、忘れてた。何も用意してないよ」
となる確率の方が高そうではあります。
3月は、日本人なら誰もが経験する卒業式のある月です。卒業は学校に限らず、仕事や趣味の世界にもあり
ます。それゆえ、3月は一つの区切りと新たな旅立ちが待っている季節でもあります。
私の場合、卒業式と同時に思い出すのは、アトリエ作者との結婚式です。46年前のこと、大学の卒業式は
3月17日でした。その1週間後、3月25日が結婚式、そして入社式が1週間後の4月2日。今にして思え
ば、若さの勢いとはいえ、何と無謀なことをしたのかとあきれています。私の行動に、子供の頃からほとんど
異議を唱えたことの無かった母が、真剣な顔をして「そんなに急いで結婚することはないんじゃないの?」
と言った気持ちが、とてもよく理解できます。理由はいろいろありましたが「純愛ゆえ」とだけ言い訳してお
きましょう。
さてその結婚記念日ですが今年で46回目を数えます。でも、一緒に過ごせたのは半数にも満たないのです。
トンネルを掘る土木現場に従事するという仕事柄、単身赴任時代が長く続いたからです。