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序章


 目を開くと世界は歪んで見えた。

 緑色。

 時折白い影が視界を横切る。

 身体から黒いチューブが何本か伸びている。
 そこから何かが私の中に入り、巡り、出て行くのが判る。

 身動きが取れない。が、嫌な感じはしない。

 私は再び目を閉じた。



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 「お、目を開いたぞ。」



 男の声に白衣では隠し切れぬ曲線をもった女が反応した。

 「あらホント。まだ意識は半覚醒状態みたいね。」



 円柱状のガラスの中に満たされた緑色の液体の中に、チューブに繋がれて浮かぶ、男。


 薄っすらと目を開き、焦点の定まらぬ瞳が動き、何事も無かったかの様に閉じた。




 「憎たらしいけど、本当にイイ男よね。アソコも大きいし。」

 髪の毛を結わいた男がコーヒーを吹き出した。手にした書類に茶色の染みが浮かぶ。

 「この依頼者、かなりの好き者よ、きっと。セクサロイドにでもするつもりかしら。」

 「でも男だぜ、依頼者。」



 必然的にぶつかる視線。



 「そういうのも、アリ、か。」

 「そういうのも、アリ、か。」


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