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第二章 第二節




 待ちに待った、夜。

 たった十数時間が、どうしてこんなにも待ち遠しいのか。



 健全に過ごす昼間のなんともどかしい事か。

 オレはいつからこんなになってしまったんだろうと疑問に思っても、その行為が持つ熱と波で吹き飛んでしまう。

 直江はオレに、「愛してる」と滅多に言わない。

 言われなくても判っているし、大切な瞬間だけにしか言わない。

 直江は、オレが「愛してる」と言って欲しい時を知ってる。だから愛されていると思う。



 でも、少し悔しいので、オレは言わない。言わされちゃう時もあるけど。





 シャワーを浴びて、バスローブを羽織ってベッドルームに来る時の直江はカッコイイと思う。

 グラスを二つ持ってきて、「少し、飲みますか。」って聞いてくる時なんか特に。

 注ぐ飲み物も、毎回趣向を凝らしてて面白い。

 オレに嬉しい事があった時はシャンパン。オレが拗ねている時は甘いカクテル。オレが甘えたい気分の時はブランデー。

 オレが風邪をひいた時はホットミルクに蜂蜜を少しと、お酒もちょっと。

 飲んだら身体が火照ってた。



 十分にアルコールが回ったところで、優しく頭を撫でてくれる。

 でかい手だな、といっつも思う。

 気付いたら、喉の当たりに直江の唇が触れていて、気付いたら、キスしてる。



 気付いたら、二人とも裸で。

 気付いたら、とても熱くて。

 体躯の奥が、とても熱くて。



 オレを包み込む直江の指が、唇が、とても優しくて、温かくて。

 気付いたら、夢見心地で。



 白く、しろく、とおくなっていく。















 で、気付いたら、涙流してて。

 この世界にいるのはオレだけだ、って感じるから。







 コーヒーの薫りで独りじゃない、って気付く。



 そんな時、愛してるって。

 つい、言っちまう。







 「・・・あと・・・・ごふん・・・・・。」







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