「後味悪いね。」 門脇綾子が呟く。 煙草はコンクリートに滴る溶液に浸かり、半ばで消えている。 「ああ、見ていて嬉しいもんじゃねえ。」 千秋修平が答えた。 流れ出る体液が溶液に混ざり、濁る。 「まったく趣味の悪い事を考えやがって。これだから上は。」 自分に言い聞かせるように呟き、綾子を振り向いた。 「流石にちょっと・・・ね。・・・どーする?この後何か食べに行く?」 女は切り替えが早い。そして、俺も。 クローン技師・千秋修平と呼ばれた『それ』は、クローンポッドに凭れ掛かるようにして、停止していた。 銀色の瞳孔は拡散し、最早収縮する事は無い。 また、別室に置いてクローン技師・門脇綾子と呼ばれた『それ』も同様である。 ― |