BACK

「QUU」(きゅ〜)の悲劇


物音一つしない静寂の中、息を殺して椅子に腰掛ける。

連絡会議。フルメンバーの土曜の朝は苦手だ。

上司の話す言葉に紛れて消えてほしい。

それは、私の
「腹の音」である。



朝飯抜きではない。空腹で、うなってる音ではない。

まだ空腹の方が幸せだ。空腹の擬音であれば

息を止めて腹を押さえれば済む事なのだ。



グレープフルーツジュースが良くなかったのであろうか?

「QOO」 (クー) に、変えてみたが、変わらない。

この、私の気持ちとはウラハラに,腹の擬音は繰り返す。

何故!こんなに静かなのだー!

「QUU」(きゅ〜)が聞こえる。

会議の内容は上の空!
セキでもして、ごまかしたい。

QUU」(きゅ〜)の音の後に椅子を引いたら、

この私の
恥ずかしさが周りにモロに伝わる。




・・・・・いや、もうすでに伝わっている。・・・・・



こう見えても、まだ恥らう乙女!周りを気にする。



隣の売り場が掃除機を掛けた。

おお!神は私を見捨てなかったか。

しかし、QUU」(きゅ〜)は

掃除機を止めた後で、うなりだす。



QUU」(きゅ〜)じゃないだろうが!

「QUU」(きゅ〜)じゃ、よう!(怒)



私は何気ない顔をしたいが、この擬音が顔を赤くさせる。

「苦しい時の神頼み」の想いは届かず、

さらに私の気分をブルーにさせる。




「QOO」(クー)のジュースを見る度に、

私は土曜の朝の行き詰まりを感じる。

あの静寂の中、声にならない
私の心の叫びを・・・

擬音の「QUU」(きゅ〜)の叫びを・・・・・




BACK