11 12 家探し   13

2004年2月

留学生活も4年をゆうに過ぎ、オーストラリアの州都、街を住み替えること計5回、引越し回数は計8回。

「そらしんどいわな。」
と自覚しつつも今9回目を迎えようとしている。もうヤケクソとも言える。

何度やっても苦労するのがこの「新居探し」。
ホームステイファミリーを手配するのであればさほど苦労はしないのですが、いわゆる今まで全く知らない人とイキナリ同居する「シェア」の家探しには泣きそうなくらい手を焼く。

先ず学校、店、新聞などにある「同居人求ム!」の張り紙、情報リストを探し、場所、値段、「こうゆう人、求ム」などをチェックする。

ところでこの以外に多い「こうゆう人、求ム」の欄が実に私を翻弄させる項目なのです。

「何々・・・「女二人で住んでまーす!男の人待ってます!でも誰でもいいですよー!」・・・最後の文がなんかかえってヤラシイな。」

「これはどーだ・・・「僕達はゲイです。ゲイに理解のある男の方待ってます」・・理解のある女じゃ駄目なんかい、ええおい?」

「えー、「男、一人、女の方、求ム」・・・だんだん出会い系じみてきたなあ。」

「ハイハイ、「しっかりしてて禁煙家で責任感があって自立していて家賃をきっちり払う静かで飲んだクレじゃなくて家でパーテイはしない人でウンヌン云々いつもキレイ好きな」ハイハイすいませんごめんなさい。」

小心者の私は、決して強気で「だから何や!住ませろ!ええやんけ!」とはいけずマゴマゴしてしまう。

しかしあんまりマゴマゴしてるワケにはいかないのでとりあえず気に入った所に片っ端から電話を掛けまくる。

(今の日本ではもうありえないけれど家電話、携帯電話番号が公共に開けっぴろげに公表されている。こうゆう事態に慣れてしまっていた私は前回日本に帰った時、あやうく怪しいバイトに片足突っ込むところであった。お母さんすんませんでした。)

「もしもし、〇〇さんっすか?まだ部屋空いてます?」

「あら、もう人決まっちゃったのよ。ごめんなさいね。」

この会話が何度も何度も繰り返される。学校が始まる直前のこの時期、条件の良い所はすぐ取られてしまうのだ。

「マゴマゴが原因だ・・・。」と自己嫌悪に陥り、この時点でとりあえず半泣きしておく。

こういう時は誰かに怒られたほうがよっぽど「ミジメ指数」が少ないように思う。

そうこうしながら運良く残っていた部屋を見せてもらう約束を取って目的地へと赴くわけです。

気に入ればそれからさらに、相手からの返事を待つこととなる。

ところで、これは2年前の話ですが
「私は看護婦です。夜勤が多くて家にあまりいないので学生さんに最適の家です。」というのがあったので、

「忙しく働く麗しくも逞しい美しい看護婦さんとお知り合いになりたいッ。」

と期待を胸に家を見に行った。しかし

「いやっ、アンタにこそ看護婦が必要なんちゃいますか!?」

と突っ込まずにはおれないほど、今にも折れそうなヨロヨロ老婆看護婦がハローと現れたのであった。

これでは、私が彼女を介抱する可能性が出てくるではないかと真剣に思い、この時ばかりは家も決まっていなかったのにすぐさま断わってしまった。

さてこれを書いている今は向こうからの返事を待っている時です。

果たして私はもうすぐ9回目の引越しを無事達成できるのでしょうか。

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