アメリカ、ニューヨークにある2本の超高層ビル。
とある事件によって、そのビルは無残にも崩れさった。
多くの人達がその巻き添えになってその命の花を散らしていった・・・・・・。
しかし、人々は、互いに手を取り合い、ニューヨークは着実に復興して行った。
そして、その場所に、1つの遺跡が見つかった・・・・・・
幻影の天使たち
第3話
天気は雨。
いつもは世界を明るく照らす太陽も、厚い雲に覆われ十分にその力を発揮出来ないでいる。
窓の外の、滝のような雨を横目で見ながら、
4人の男が、暗い部屋で、1つの豆電球の明かりだけを頼りに話をしていた。
時折り、雨雲から稲妻が、雷鳴と雷光を一緒に連れて、部屋の中を一瞬だけ明るくする。
顔はおろか、その髪の毛の色すらも、まともにうかがい知ることが出来ない。
そして、その話の内容は・・・・・・・。
男達は口々に言葉を交わす。
「・・・ニュースを見たか・・・?」
「あぁ、まさかあんな所にあるとはな・・・・・」
「どうする?政府が出て来たら厄介だぞ?」
「大丈夫だろ、誰がやろうとも、あの【剣】は抜けるわけが無い、な?」
と、男が言っていると。
「・・・あぁ、あの剣を抜けるのは、俺だけだ・・・」
男の一人は、静かに言った。
遺跡は、ピラミッドのように入り口があり、そこから内部に入れるようになっていた。
そしてその遺跡の最深部には、1本の大きな剣があった。
遺跡の壁は外も内も同じような固い石で作られており、不思議な事に傷付けてもあっという間に修復してしまう。
外側からも、内側からも、全く破壊する事はできず、中に有るものは、床から一段上がった台座に突き刺さっている一本の大きな剣。
台座に刺さり、まるでアーサー王伝説のように、どんな屈強な男達が抜こうとしても決して抜ける事は無かった。
そして、台座の下には4行の文が書かれていた。
【我、青龍、我はここに眠り、長き時を巡りて我が主を待ちつづける】
【我が名は白虎、母なる右腕、広き乾いた砂の大地にて巡り来る我が主を待つ】
【我の名は玄武、母なる頭にて、その奥に主、巡り来るまで我は眠る】
【我、名を朱雀、母なるへそ、中央にて巡り来る主を待つ】
男の一人が苦笑する。
そして、その男が苦笑しつつ言った。
「ははは、まさかあんな文字を使うとは」
「はぁ・・・・・・あんな字、読めるやつ居ないって・・・・・・な」
男が、溜め息を1つ漏らしながら言うと、同意を求める。
「そうだな」
男の言葉に、苦笑しつつ答えた。
「・・・まぁ、ともかく、取りに行くか・・・」
『異議無し』
男の一人が言うと、他の3人が声をそろえていった。
それと同時に、また轟音が轟いた。
行く事が決定した為、4人はお茶をすすり、お茶菓子を食べほのぼのとしている。
外は相変わらず雨が降っているが。
ふと、男の一人が、他の男に突然訊いた。
「おい、
星
、行くのは良いんだが、志保はどうする?」
彼の言葉に、
星
と呼ばれた男は少しだけ考える仕種をする。
「あぁ、そうだな・・・・・・鳳凰の事もあるし、2人で行くか・・・・・・?」
「・・・そうだな、朱雀と方法は何かと因果があるし、一緒に行ったほうが良いだろう・・・」
星が答えると、それを待っていたかのようにまた別の男が発言した。
すると突然、1人だけ黙っていた男がせんべいをバリバリと噛み砕きながら発言をした。
「でもさ、問題が1つあるんだよな」
と言うが、実際は口の中に物が入っていたため、もごもごとしか聞こえなかったりするが。
それでも他の三人には通じたみたいである。
「・・・そうだな・・・俺達が行くと周りを巻き込んでしまうからな・・・・・・・」
「守り切ることは容易いと思うけど、難儀なんだよな・・・・・どうする?」
「どうするもこうするも、行かない事には始まらないだろ?3日もあれば手に入るだろうし、さっさと行って、さっさと帰って来れば良いんじゃないのか?」
4人は思案する。
しかし、それしか方法が無いことを悟り、顔をあげた。
「そうだな、速く行って、早く帰ってくるか」
男の言葉に、三人はうなずいた。
そしてその翌日。
昨日までの雨が嘘のように、空はすっきりと晴れ上がっていた。
そして、4人は、空港に居た。
訂正、四人と1人であった。
「さて、諸君、準備はしてきたか?」
長身にパーマの男が腰に手を当て、胸を張って言った。
「・・・こちらは万端だ・・・」
右手を軽く挙げて、ほんの少し金色の混じった髪の毛の男が答えた。
「右に同じ」
「星に同じ〜」
星、それと、星と腕を組んでいる少女が答えた。
その様子を横目で見ながら、溜め息をつく男が一人。
「志保、遊びに行くわけじゃないんだからな、星の言う事はちゃんと聞けよ」
星牙が志保と呼ばれた少女に言うと彼女はため息をついた。
「もうっ、言われなくてもわかってるわよっ、聖武具のヒントを探しに行くんでしょ?私も戦士の一人なんだから、それくらいわきまえてるわよっ」
どうだか、と言う風な態度で星牙は息を吐いた。
志保に見えないように。
見えていたら志保がまた何か文句を言う事を予想しての行動であろう。
そして、彼等は飛行機に乗り込み、それぞれの行くべき場へと旅立った。
3日後、ここで会う事を約束して。
5人は、飛行機に乗り、旅立った。
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