マサラ日記     previous«  »next

12月12日(火)           

 朝、昆布、煮干、カツオブシでダシを取り、熱いかけうどんに仕立てて食べる。寒い朝、こういう食事はぜいたくだな。

 昼、以前ダールがおいしかった吉祥寺のネパール料理店に行ってみた。


 皮付きのウラド・ダール、チャナ・ダールの煮込みカレー。十分おいしいのだが、ネパールというよりは北インドのパンジャーブっぽい味わいでもある。以前来たときはもっとサラッとしてインドのダールカレーにはない独特の軽やかさがあったような気がするが…

 料理のおもしろさのひとつ、そして同時に難しさはこういうことか。
 一期一会、いくらおいしくても食べてしまえば当然のように現物はもう目前に無い。絵画や建築はいうまでもなく、音楽や演劇、舞踊だって録音や録音ができるので、完全ではないものの、その素晴らしさをある程度は再現して体感できる。ところが料理はそういかない。いくら達人がスゴい一品を作っても、食べてしまえばそこで終わり。写真を見たってそこから感じられる味わいは想像上のもの。次に作ってダメだったら、その料理人の評価は落ちる可能性大。この緊張感がたまらない。

 ダールに話を戻すと、暑い夏もおいしいのだが、日本の寒い時季に温かいダールカレーをいただくと体と心の両方がホカホカとなる感じがして好きだ。

 ついでにいえば、ひよこ豆(=チャナ豆)と肉、あるいはシーフードなどをトマトやスパイスで煮た北アフリカのクスクス(マトンのソーセージであるメルゲーゼのクスクスもおいしい)、あるいはテックスメックスなチリビーンズなどもこの季節の日本で食べておいしいはず。

 最近、やたらミネストローネが食べたい気分。これもまた寒いから?

 大豆を発酵させて味噌を仕込み、そこから味噌汁を生み出す日本に、豆そのもののシチュー的メニューが少ないのはおもしろい。味噌汁があるから無用なのか。

 夜、昨夜のパラク・ダール(ホウレンソウと挽き割り豆の煮込みカレー)を温め直して、インディカ米のご飯にかけて食べる。やはりウマい。

日記を書いているときのBGM:ジミー・スミスの『クリスマス・クッキン』。ジャズ・オルガンの巨匠によるクリスマスソング特集。メチャクチャファンキーでグルーブあふれる熱い演奏だ。