マサラ日記     previous«  »next

11月23日(木)           

 世間は祝日だが仕事。
 仕事が無いことに比べれば、仕事で時間が思うようにならないことの方がぜんぜんいい。しかし、もう少しゆっくり休みたいものでもある。ぜいたくな悩みか。

 昼、またも坦々麺を食べる。そこに高菜チャーハン(実際はご飯に炒めた高菜や卵、長ネギなどを混ぜ込んだものだろう。レモン・ライス、トマト・ライス、タマリンド・ライスなど南インドのバラエティ・ライスと似たような手法といえる)、あっさりした風味のザーサイ、ニンニクの芽とジャガイモの細切り炒め、マンゴープリンが付いて950円だったか。
 今日食べた店はスープのゴマ風味が濃厚で、なかなか私好みの味。ただし四川の漬け物の刻んだものはおろかザーサイの刻みもスープに入らず、その点で物足りなかった。

 こうして同じ料理を集中して食べることは昔からよくやっている。飽きないのかといわれるが、これが飽きない。好きなギタリストのフレーズを何度も聞いてコピーするのと同じようなもので、パクッてしまうまで飽きることは無い。

 インド料理で初めて食べ比べまくったのは、おそらくチキンカレーだろう。アジャンタで修業する前の話だ。20年前、初めてインドに行ったときも(カルカッタとプリーで計1か月の滞在)、チキンカレーにやたら注目していたはず。ところがそのときは途中で本場のマトンカレーの魅力にノックアウトされ、チキンカレー探求がおろそかになった記憶がある。

 最も長い期間、結論が出ずにウロウロあちらこちらで食べまくったのはサンバルだろうか。自分で納得いくものができるまで10年ぐらいはかかったはず。
 
 だから料理教室などで「おいしいサンバルの作り方を教えて欲しい」といわれた場合、「お教えするのはぜんぜんかまいませんが、会得するのに時間がかかりますよ」と申し添えるケースが多い。おいしいサンバルをブレずに作るのは難しいことなのだ。

 で、坦々麺のゴールはぜんぜん見えない。何しろ、これはスゴい! というような究極の逸品にまだ出会っていないのだから。見本がなければ始まらないわけだ。ま、今年の冬じゅうに見つかれば御の字だろう(大昔、西荻窪にあった「唐人街」という幻の名店のはおいしかった)。

★日記を書いているときのBGM:ネーネーズ『コザDABASA』。ライ・クーダーやデヴィッド・リンドレーもゲスト参加の名盤だ。