マサラ日記     previous«  »next

8月27日(日)           

 日曜日だが、ほぼ原稿書きで一日が埋まる。

 思えば『誰も知らないインド料理』(1997年)では、昼間の仕事をこなしつつ朝晩だけ費やし、それでも書き始めてから1ヶ月で脱稿した(688字で250ページぐらいだったから、単純に1日5000字ぐらいか。なかなかいいペースだ)。だから、今でもやればできるはずなのだが…。
 のん気にインターネットをのぞいたり、酒をやめれば、もっと迅速に仕上がるだろうが、なかなか難しい。ともかく煩悩をふりはらって頑張ろう。

 昼下がり、地元西荻窪の隠れた名店、「タイ料理を中心としたアジアのごはんとカレーの店」ぷあんでカオソイをいただく。
 ここは、以前私がいたほびっと村の2階にあったお店の先輩格に当たる方たちが切り盛りしている店。週末限定のカオソイはじめ、充実した料理と酒が楽しめる。
 カオソイは、南インドのチキンカレーにも似た骨付きチキン入りカレースープに、ゆでた太麺と細めの揚げ麺の2種が入ったタイ北部の郷土料理。レモンを搾り、生の赤タマネギや高菜っぽい漬けものを好みで入れて食べる。私はほびっと村にあった満月洞でこのメニューが出ていたときからのファンである。

 夜遅くまで原稿に向き合いつつ、夕食の仕込み。
 本日は簡単に皮付きムング・ダールの煮込みカレー。それに近くバングラ・インド料理店でテイクアウェイしたナーン。

 同じ黒豆系ダールでも皮付きウラド・ダールとは違い、こちらは軽い食べ口。胃にあまりもたれず好きだ。

 一方の皮付きウラド・ダールはパンジャーブの郷土料理にして、今やバターチキンとともにインド中で有名な「ダール・マッカーニー」という料理にするのが普通。
 ダール・マッカーニーもバターチキン同様、日本のインドレストランで食べるとさらに重いのだが、本場にはより軽く仕上げるレシピもあり、私はそうやって作る。

 パンジャーブといえば、ラジャスターンのジャイプールあたりで、パンジャーブを本拠地とするシク教の人の髪を無理に切ったとかで、シクの人々の大規模な抗議行動に発展しているという。
 そりゃそうだろう。シクの男性といえば、長い髪をターバンに包みヒゲを伸ばすのが定番。とにかく髪やヒゲは大事なものなのである。
 短絡的な行動で平和で友好的な日常が破られるのはもったいないし、悲しいことだ。
 
★日記を書いているときのBGM:フランク・ザッパの『ZOOT ALLURES』(1976年)。とにかく「ブラック・ナプキン」のギターソロはいつ聴いてもノケゾる素晴らしさ。全曲ギターの音色が限りなく美しい。音がデカく、重たく、しかも手数が多いテリー・ボジオのドラムスにも耳を奪われる。