マサラ日記     previous«  »next

8月23日(火)           

 昼、おいしいと評判のそば屋でせいろ大盛りを食べる。が、想像したほどおいしくなくてがっかり。
 とにかく、いいそばにはいい香りがするはずが、本日のにはそうした香りが皆無。ついでにつゆも何となく魚くさい。

 いい料理、いい食材は香りがいい。これはたいてい当てはまる話だろう。

 夜、四川の方が作るたいへん珍しい中国のカレー、そして本場の四川料理をいただきに小岩の「珍々」へと出かける。

 山椒と辣油の利いたおいしい料理を堪能したが、中でも個人的に印象的だったのが、鶏肉の青唐辛子ソースがけともいべき料理。
 青唐辛子とニンニクをベースにしたこのソースは、インドのグリーン・チャトニにニュアンスが似ている(グリーン・チャトニというのは、青唐辛子、香菜、ミントの葉、塩、レモン汁などをミキサーにかけたり、すりつぶしたりして作る「タレ」。サモサからシークカバブ、ドーサまでいろいろな料理に活用できる)。おそらく青唐辛子やニンニクを包丁で叩いてみじんにしたタレだろうが、その爽やかな辛さや風味がチキンによく合って印象的だった。

 そして、ハイライトのカレーである。
 具材はビーフの厚切りとニンジン。カレーソースはサラリとしてしかも自然なトロミあり、クラッシュされて焼き目の付いたタカノツメが多数浮かんでいる。食べてみるとカレー粉を使ったカレーっぽい香りと辣油、さらには醤油のような風味が渾然となっている。なるほど食べたことのない味、日本人には考えつかないスタイルのカレーだ(以前ベトナム料理店で食べたカレーに似たようなものがあったようにも思われるが)。

 他にも、オリジナリティあふれる四川の定番である麻婆豆腐、うさぎの炒めなど、独自の味世界を堪能した。お呼びいただいた皆さん、そしてお店に多謝。

★日記を書いているときのBGM:マーク・ボラン&T-REX『ズィンク・アロイと朝焼けの仮面ライダー』。あまり評価の高くない晩年の作品だが、なかなかいい。