6月27日(火)
昨日より体調回復。のどの痛みや体のだるさも治まる。
昼、冷やしうどんを軽く食べ、夜、日本を代表する「インドカリーの名店」新宿中村屋で豪華な特別ディナーコースを頂戴する宴に出席。
この日のメニューはメインのカレー以外、通常のメニューにはないもの。いただく前から期待が高まる。
まずはスターター、左上から時計回りにひよこ豆のマサラ、パニール(インド式カッテージチーズ)のロースト、オクラのチャトニ詰め、砂肝マサラのトーストのせ。いずれも見事なインド料理テイスト。特に砂肝マサラをトーストにのせるのはアングロインディアン(植民地時代、インド料理とイギリス料理が融合してできためずらしい料理スタイル)ぽくていい。
タンドゥーリ・チキン風の鶏肉ロースト。凡庸なタンドゥール窯焼きのチキンより、はるかにインド的な味わい。本来タンドゥーリ・チキンの味を左右する切れ込みの入れ方もよし(切れ込みが浅いとマサラがしっかりと肉の中まで入っていかない)。
シーフードのクリアスープ。サフランと生カレー・リーフのフレーバーが絶妙。
写真はないが、その後イベリコ豚のハチミツ風味ローストにグリーン・チャトニを添えたものが出た。グリーン・チャトニが純正北インド〜パキスタン・スタイルで美味。
ソフトシェルクラブの揚げもの。上に乗っているのは「自家製カードチリ」。唐辛子を塩入ヨーグルトに漬け、それを天日で干す。さらにまたそれをヨーグルトに漬け直し、再び干すということをくりかえしてできる。南インドで出される珍しい箸休めだが、バツグンの出来映えだった。白くて薄いのはパパド。ツブツブはコリアンダーのシード。
チシャトウ(レタスの仲間で肥大した茎を食べる。中国料理でよく使われる。キュウリにも似た風味と歯ざわり)のココナッツドレッシングサラダ。ココナッツ風味のライタという趣。
メインの軍鶏肉を使った「コールマン・カリー」。ヨーグルトベースでカルカッタのムスリムレストランで出されるような味わい。極めてレベルの高いインドカレーである。
デザートの盛り合わせ。右下はガジャル・ハルワ(ニンジンのミルク煮)をラドゥ(ボール状のデザート)のように仕立てたもの。上はシュリカンド(ヨーグルトをガーゼなどで長時間水切りしてサフランなどで味つけするスイーツ。西インド、グジャラートやラージャスターンが発祥)、さらにアルフォンソーマンゴーとハイビスカスのシャーベット。
ほかに、インド・マイソールのコーヒー、ベーサン・ラドゥ(ひよこ豆の粉とギーでつくるスイーツ。日本でこれが食べられるのは珍しい)など。
迎合することなくしかも日本人の舌にマッチした調理、プレゼンテーションもバツグン。明らかにそこらの「インド人経営でインド人調理のインド料理店」より、はるかに上を行く完成度である。
「本来、インド料理はコースで出しませんが、本日はあえてそういうスタイルにしてみました」といった解説も実に的確。本場のインド料理を十二分に理解し、さらに独自のスタイルを築いているシェフの方々、そしてお店の姿勢には頭が下がった。
日本が世界に誇れるカレー世界を垣間見させていただいた貴重な夜であった。
★日記を書いているときのBGM:1960年代にデヴィッド・リンドレーらが結成していたサイケなエスニック・ロックバンド、カレイドスコープの『EGYPTIAN CANDY』。サズーやウードまで導入した元祖ワールドミュージック・バンドだ。