マサラ日記     previous«  »next

6月7日(水)
           

 東京は、晴れているのに突如として雨が降ったりで妙な天気。梅雨というよりは夏の日和に近い。それでもそのうち確実に梅雨入りするのだろう。ジメジメといやな季節の到来だ。

 昼間、小田急に乗って梅が丘でさる企画の打合せ。1970年代のカルカッタへ行ったことのある方に、家庭的な味わいのおいしいチキンカレーとオクラのサブジをごちそうになる。
 
 日本でもインドでも、私が「おいしいな」と思う料理にはたいていいくつかの共通項がある。
 それらのうちのひとつが、「スパイスを入れすぎない」ということである。
 今日いただいたチキンもオクラもまさにそんな感じ。聞けばどちらもターメリック、カイエン・ペパー、コリアンダー、クミン・シードだけしか使っていないらしい。チキンカレーの辛味はキッチリとシャープ、しかも軽やかな味わいで香りもいい。オクラはタマネギといっしょに炒めてあったが、クミン・シードをはじめとしたスパイスの加減が過剰にならず、オクラやタマネギのおいしさをうまく引き出している。どちらもやさしい味だった。

 日本人の場合、やたらスパイスを入れてバランスを欠いた味を「スパイスがきいておいしい」と勘違いしていることがある。
 スパイスは素材の風味を際立たせるため、的確な分量とバランスで使われてこそ、真価を発揮する。たくさん入れればいいなどというものではない。

★日記を書いているときのBGM:マレーシアの歌姫、シーラ・マジッドの『レジェンダ』