マサラ日記     previous«  »next

3月22日(水)
           

 家の近くにある、深夜までやっているイカした古本屋「スコブル社」で購入した、マイ・フェイバリットな作家のひとり、開高健氏の『渚から来るもの』を読了。
 現在処々の理由から絶版だが、傑作『輝ける闇』あるいは『夏の闇』のプロトタイプとして貴重な作品。ベトナム戦争を題材にしたルポルタージュ的小説だ。

 小説を読むのはいいが、自分の原稿がぜんぜん進まないのが困りもの。ヤバいのである。

 夜、親しい友人と西荻窪のパキスタン料理店「ラヒ・パンジャービー・キッチン」へ。
 
 カレーが右から、「ダール(皮つきムング・ダール)」「卵とフライドオニオンのカレー(先日、私がつくったアル・チャナ・エッグ・マサラに似たノリ)」「ニンジンとジャガイモのカレー」。右下はマンゴーとレモンのピックル(お店の表示はアチャール)。奥はナーンとピティワラー・ナーン(ポテト・マサラ入りのナーン)。

 これらももちろんイケたが、本日のヒットは「パコラ」。拙著『カレーな薬膳』にも南インド風「オニオン・パコラ」のレシピが出ているが、それとはまったく異なる。
 ポテトやオニオンのベースにカスリ・メティ(フェヌグリークの葉の乾燥したもの)、コリアンダー・シード、クミン・シードなどのほか、何やら酸っぱいものが入っていて(タマリンドやザクロではないらしく、オーナー・シェフによれば「パキスタンのガラム・マサラみたいなものです」とのこと。マンゴー・パウダーも使われているらしい)、これが絶妙なアクセント。酸っぱいパコラははじめて食べるので、驚きとともにそのおいしさもきわめて印象的だった。
 
 ストーンズの来日公演は盛況らしい。ロックオヤジたちが頑張っているのだから、こっちも気合を入れて原稿を書こう。

(日記を書いているときのBGM:これまた私が尊敬しているリチャード・ヘルの『TIME』。ジョニー・ロットンにパンクを教えた真のロックン・ローラーにして、今は詩人、小説家、映画評論などをこなす異端の才人だ)