マサラ日記     previous«  »next

1月26日(木)
           

 雑誌『旅行人』の最新号が発売。何と「南インド」の特集である(ゴアも含まれている)。

 私は食に関する原稿を担当。いわゆるカレー以外の南インド料理をビギナーの方にもわかりやすく概説してほしいという編集部のリクエストにお応えした形で、書かせていただいた。
 もちろん、ほかにも興味深い内容が満載で充実の一冊。よかったら本屋さんで手にとっていただきたい。 

 南インドの食をきちんと単行本で語ったのは、おそらく私の尊敬する浅野哲哉さんが初めてだと思う。氏の『インドを食べる』が刊行されたのが約20年前。私にとっては革命的な内容で、これを読まなかったら絶対インド料理探求の道には入らなかった。つまりはバイブルみたいな書である。必読だ。

 20年が経過し、ようやく南インドが歴史と内容で定評のある本格雑誌で特集を組まれた。これは日本初かも。

 ところで、南インド料理とはいったい何だ? ときかれたら、私の答えのひとつは「インドの誇る究極のカレーライス」。
 ごはんにカレーをかけて食べる。その基本にして深遠な魅力が、本場の南インド料理には隠されているのだ。

 インドのカレーにはやっぱりナーン。
 南インド料理に関していえば、そうした意見は100パーセント間違いだ。南インドにナーンは要らない(かといって、私はナーンがきらいなわけではないのでお間違えないように。タンドゥールでおいしいナーンもつくれるつもり)。

 繰り返しになるが、今回の『旅行人』ではカレーではない料理の紹介にページを割いた。
 カレーを語らずにインド料理が語れるのか? 語れるのだ。
 そこが南インド、そしてインド料理の深遠さである。

(日記を書いているときのBGM:ジャニス・ジョプリンの3枚組CD『ジャニス』。随所で泣ける。さすが不世出の天才)