マサラ日記     previous«  »next

1月12日(木)
           

 食べていて心が寂しくなる外食というのが確実に、私にはある。

 おいしいまずいでいえば、明らかにまずいのだが、それ以上に、卑屈さ、いい加減さ、やる気のなさなどが感じられ、それが寂しく、薄ら寒い気分にさせる。
 
 今日ランチを食べた、千葉県内某所の「インド・スリランカ料理」の店がまさにそんな感じだった。
 ポーク・カレーがある時点でヤバいと思ったが、昼の「カレー・バイキング¥890」なるものを食べ、心に寒い風が吹き抜けた。

 パサパサで重たいナーン(粉の配合、こね方ともにおかしいはず)、甘ったるくて風味の抜けた野菜カレー(いつつくったのだろう)、同じグレービーでこれまた風味のないチキンとポークのカレー(ポーク・ビンダルーにしたらさぞおいしいだろうという感じの豚モモ肉がかえって情けない)、これまた味のないサフランライス(本物のサフランが使ってあるのがかえって奇異な感じ)、妙な味のサラダ、しょっぱいだけで味のない「チキン・ラッサム」もどきのスープ。

 これだけでペケだが、何よりダメなのが、調理人のやる気が見えないこと。ご本人たちが、自分たちの日常食で絶対こんなものは食べないだろうという料理をお客に出すのは、ホント辞めていただきたい。

 食は文化、換言すれば民族のアイデンティティでもある。こんなに誇りのないカレーは久々で悲しくなった。

 インド風カレーを食べて、そんな思いをする私は日本人で唯一の存在かもしれないが、いいのだ、そういう人間がひとりぐらいはいなければ。
 
(日記を書いているときのBGM:またもレッド・ツェッペリンW)