マサラ日記     previous«  »next

11月26日(土)

 朝、「ぶらり、途中下車の旅」を見ていたら、私の好きな板橋区の四川料理店「栄児(ロンアール)家庭料理」が登場。これまた私の好きな、特製の麻婆豆腐を調理している場面もチラリと放映されたが、これがためになった。

 お店のママさんは、中華鍋に油をひいたらいきなり赤唐辛子の粉をドサッと加え、それで挽き肉を炒めていた。ママさんは私が行くと「麻婆豆腐にトウバンジャンは使っちゃダメ」といっていたが、なるほどという感じである。さらに仕上げに加える四川山椒の量も半端ではなかった。「赤唐辛子と山椒で味をまとめるのが本場流、トウバンジャンとテンメンジャンを使うのは日本向けのアレンジ」というのも、常々ママさんのいっていることばだが、何しろ説得力のある映像だった。

 チリの辛さが特徴のインド料理といえば、私の場合、「チキンチリ」という唐辛子たっぷりのカレーや、唐辛子をミキサーにかけてつくるチャトニなどがすぐに頭に浮かぶ。南インドにはまるごとの赤唐辛子をヨーグルトにつけたものがあるし、大きな青唐辛子をひよこ豆の衣で揚げた「チリ・パコラ」もおいしい。

 大航海時代、ゴアに上陸したポルトガル人からインドに伝来したといわれる唐辛子だが、今や、それなしではインドカレーは成立しない。

 インド料理でも、栄児の麻婆豆腐同様、赤唐辛子粉は油とよくミックスさせ加熱させながら使うのが、ひとつのセオリーである。油と混ぜる、そして加熱することで、粉っぽさが消え、奥行きのある「うまみたっぷり」の辛さが生まれるのである。

 日本のインド料理店では、テーブルの上に七味ならぬカイエン・ペパー粉末の小瓶が置いてあることがある。辛いのが好きな方はこれを料理の仕上げにふりかけろということだろう。しかし、実際、できあがったカレーにそいつをバカバカふりかけても、辛さが浮いてイマイチおいしくないはず。やはりカレーに使う赤唐辛子粉は、1度火を通した方が味がなじんでいいと思う。
 
 何だか、ウマーい中華で食べたくなってきた。明日はひさびさにチャイニーズをつくろうか。