マサラ日記     previous«  »next

11月21日(月)

 天気予報を見聞きしていると不快指数、紫外線指数、洗濯指数などのほかに、この時期、鍋物指数(あるいは鍋指数)なるものがあることにようやく気がついた。

 夏はビール指数があるのだから、鍋物指数があって当然なのだろうが、私の場合、ビール、鍋物指数ともども、テレビでやっている「本日のあなたの運勢」を見るのと、ついつい同じような感覚で眺めてしまう。

 昔、都内で爆発的に増殖した「もつ鍋」も今や、ほとんどが消えてしまった。もつ鍋ブームはたしかバブル期のできごとだったような気がする。
 今でも、博多辺りに行けば、おいしいもつ鍋にありつけるが、都内でめっきりもつ鍋屋が減ったのは、もともと内臓好きにはさびしい限りだ。

 もつといえば、レバーやタン、鶏の砂肝などの内臓カレーのおいしいものは、日本には極端に少ない気がする。逆にいえば、おいしい内臓カレーを食べさせる店があれば、私のような者はあっというまにファンになるだろう。

 沖縄の中身汁も内臓好きにはたまらない。あれだけ澄んだ汁の中に、これまたきれいな内蔵があるのは、じつに美しい料理だと思うし、仕込みの手間もたいへんだろうな、といつも感心してしまう。

 今、個人的に最もひかれる鍋は「あんこう鍋」。あんこうのどこがいいのかといえば、何といっても魚らしからぬコラーゲンのプリプリ。あのプリプリ感は、じっくり煮込んだマトンカレー、あるいはパヤ(インドやパキスタンで有名な牛や羊のスネや関節の煮込み)を思い出させてくれる。
 もちろん、あんこうは内臓もおいしい。さらには、肝をスープに溶いてもウマい。だしのたっぷり出たスープでつくる雑炊もたまらない。

 ふぐもいいが、本日の私には、どっさりあんこうが入った鍋の方が心躍るものがある。
 
(日記を書いているときのBGM:ガンズ・アンド・ローゼズの『USE YOUR ILLUSION U』。この時期にあまりふさわしくない、暑苦しい作品だと思った)