マサラ日記     previous«  »next

11月11日(金)

 9日水曜日は浅草酉の市だった。以前は、屋台をぶらつきつつ熊手を買うなんてことをしていたが、いつのまにか疎遠になっている。人でごった返す浅草にまでわざわざ行くのがおっくうだというのが主な理由だが、酉の市は新宿の花園神社でもやっている(あくまで関東起源の行事であり、関西などにはないらしい)。時間があれば、次回二の酉に屋台を冷やかしてみるのもいいかもしれない。

 昨日の日記で捨てたと書いたはずの電気ストーブが出てきたので、さっそく使ってしまった。ウーム、やっぱり部屋が暖かいと楽だ。猫のようについついストーブに依存してしまう。と同時に、たいして寒くもないこの時期からこの調子では、先が思いやられる。

 昼、仕事場の近くのタイ料理店で「トムヤム味のビーフン(センレック・トムヤム)」を食べる。
 
 トムヤムとはいっているが、実際にはココナッツミルクもたっぷりきかせてあるので「甘辛酸っぱい」という感じの味つけのスープである。これが細めのビーフンとよく合っておいしい。ご飯にかける、あるいはご飯を入れてもイケそうな味加減である。
 よく見ると、スープの中には煮込まれたと思われる香菜の根っこが入っている。タイ料理ではチキンのスープをとるときなど、香菜(パクチー)の根をいっしょに煮込むことがあるが、この店でもそうしているらしい。こういう小技はうれしくなる。

 甘辛酸っぱい味つけ、香菜の根っこも捨てずに使う。これは南インド料理とピッタリと合致する特徴だ(香菜の根を本来捨てないのは、インド亜大陸のとりわけ家庭料理全体に共通していることだが)。南インドのカレーにはタイカレーに似たテイストのものがあるが、具体的な手法としても近いものがあるわけである。

 とはいえ、南インドとタイで決定的に違うのはダシのきかせ方(インド料理では基本的にスープストック的なダシは使わない)と魚醤の存在。多くの日本人には、そうした点でタイ料理はインド料理よりも近いところにあるだろうし、昨今のタイ料理の隆盛ぶりもうなずける話となる。
 
 夜、日曜日の料理講習用の食材調達に大久保に行く。あいかわらず「韓流」目当ての日本人の数が多い。どうも違和感を覚える感じで、さっさと帰宅した。
 
(日記を書いているときのBGM:トム・ウェイツの『レイン・ドッグス』)