マサラ日記     previous«  »next

11月5日(土)

 ほうれんそうのカレーをつくると昨日の日記に書いたが、つくっていない。体調もまだ本調子でないので、スパイシーなものは避けている次第だ。体が欲すれば、自然と包丁を握る手も動き出すはず。明日のお楽しみにしておこう。

 で、代わりに食べたのが吉祥寺「小燕」の生餃子。こいつを家でカラリとジューシーに焼いて、さらにはデリ惣菜のロックフィールドが展開する新業態「三日坊主」のわかさぎ唐揚げ、いかとやまいもの紫蘇揚げ(そんな名前だっけ)も。いずれも吉祥寺LONLONで買った。要するにビールの肴系だ。

 小燕の餃子はもちろんおいしい。お店で食べるメニューには「カキ入りねぎそば」「カキ粥」なんてのもあり、こちらにも心ひかれる。
 三日坊主の惣菜もあなどれない。カレー以外の食品の企画開発も仕事として手がける身としては、ロックフィールドの動向は常に要注目である。

 夜、「エンタの神様」があまりにおもしろくないので、WOWOWの「クイーン+ポール・ロジャース」のライブにチャンネルを変えて、そのまま観る。
 こりゃ、やっぱりクイーンではないな。ブライアン・メイ、ロジャー・テイラー、ポール・ロジャースの新バンドとすれば、それなりに楽しめるけれど。

「ALL RIGHT NOW」はフリー、「CAN'T GET ENOUGH」ではバッド・カンパニーの幻影がちらついて落ち着かない。特に気になるのは、オリジナルナンバーを叩いていたドラムスのサイモン・カークと、ロジャ・テイラーの音の重さの違い。こういうシンプルな曲には、ロジャー・テイラーの手数で勝負っぽいドラムスは似合わない。

 クイーンの曲についていえば、あえて後期の音楽的にも拡散した時期のナンバーをメインに選んだのは正解だったろう。何しろ、初期の方が、フレディ・マーキュリー以外が歌うと変な感じになりそうなものが多かったように、私には思えるのだ。

 それにしても、今もポール・ロジャースはスゴい。声はよく出るし、オーティス・レディングに影響を受けた味のあるボーカルスタイルも健在。少なくとも、体形の変化の少なさも含め、今のロバート・プラントよりはぜんぜん上だろう。

 途中でステージのバックスクリーンにクイーン初来日時(1974年?)のフィルムがモノクロで流されていたが、その断片断片が当時の、そして今も我が家に保存している「ミュージック・ライフ」のグラビア写真で見たものばかりだった。今や死語である「現実離れしたロックスター」っぽいあでやかさが印象的、かつ懐かしかった。

 そう、ロックの美学のひとつは、現実離れした「あでやかさ」なのである。ツェッペリンやストーンズはもちろん、ジギー・スターダスト時代のデビッド・ポウイやT-レックス、あるいはジミ・ヘンドリクス、フランク・ザッパ、フー、エアロスミス、キッス、イギー・ポップ、ドアーズ、ルー・リード、ロキシー・ミュージック、ジャパンなど、みんなそう。そういう驚きに満ちた派手さって、残念ながら今の欧米のポップ&ロック音楽にはないものだ(たとえばマリリン・マンソンならば、アリス・クーパーが30年前にやっていた。すべてはそんな具合である)。

 だからというわけではないが、今は非西洋の音楽の方が断然おもしろい。私にとっては料理同様、アジア、アフリカ、中南米の方が、欧米よりもエキサイティングなのである。

(日記を書いているときのBGM:『ベスト・オブ・ジョージ・ハリソン』)