マサラ日記     previous«  »next

10月24日(月)

 昼、新宿東口に新しくできたインド料理店に入ったが、おいしくなくてがっかり。
 日替わりのオクラとポテトのカレー(ネーミング的にはかなりおいしそうなメニューといえよう)、ダール、ナーン、サフラン・ライス、サラダ、チャイで900円のセット(ナーンとライスは食べ放題)だったが、最大の問題は、肝心のカレーにまるで「味がない」こと。最初、自分の舌がおかしいか、それとも風邪でもひいたのかと思ったくらい。

「味がない」ことの大きな原因のひとつは、塩が少なすぎることだろう。
 私自身の本にも書いているが、スパイスを駆使したカレーは、ある程度塩を入れないと風味が前面に出てこない。この店は料理人がビビっているのか、やたらカレーの塩が少なく、結果的に、味気ないことおびただしい。アマチュアの方の反面教師としていいかもしれないと思ったほどだ。

 さらに日替わりは違うだろうが、ダールは昨日以前につくったような風味の退化が感じられた。ギーの香り、フライドオニオンの香り、あるいはクミン・シードの香り。ダールによく似合う香りがひとつも感じられない。塩も少なすぎな上、こんな調理ではとても満足できない。

 サフランライスはちゃんとサフランを入れているので評価できたが、まともなのはこれだけ。ナーンもかみしめたとき、まるで味に深さがない。
 チャイも薄くて、香りもなく閉口。私の料理教室で、食後に入れるチャイの方がおいしい。

 結局、新宿のインド料理といえば、まずはオーソドクスに「ラージマハル」、個性派ならば、スリランカ料理の「コートロッジ」やパキスタン料理の「カラチ」あたりが無難なおすすめとなる状況は揺らぎそうもないようだ。

 夜、九時ごろ。突然、家の周囲が停電。何だろうと思うと、数台の消防車が家の前の通りに数台やってきた。どこかで火事らしい。

 カミさんとやじうまになって家の外に出てみると、道路が水浸し、あたりは煙とこげくさい変なにおいが。
 恐る恐る、消防車のいる方向に行ってみると、どうやら西荻窪駅前のアーケード商店街のあたりで火事らしい。

 それにしても、長い停電、これじゃまるでインドだ。ウンザリ。
 停電中、家から撮った外のようす。マンション、飲み屋街、街灯、すべてが全滅というのは東京ではめずらしいのでは。

(日記を書いているときのBGM:またも山根麻以。『祈りの唄』ほか)