マサラ日記     previous«  »next  

10月12日(水)

 トップページの写真を、10年以上前に乗った「インドの新幹線」、ラージダーニ・エクスプレスで出たノンベジタリアンの車内食にしてみた。

 そこにも書いたが、インド人をして「ありゃあマズいんだよな。食わない方がいいゾ」といわしめる代表選手が、列車内で食べる食事である。

 私の体験からすれば、駅で食事をすること自体はとてつもなくロマンティックでワクワクする独特なムードがあって大好きだ。

 駅の食事は基本的にメチャクチャ質素である。いわばインド版の粗食。粗食という語の響き自体が現代日本人には魅惑的だから、駅や列車内で食事するという行為だけとれば、それはとても魅力的なものに容易になりうるわけだ。

 列車内の食事は車内でつくられるのではなく、沿線の仕出し屋で調理され、それがそのままとある停車駅で積み込まれ、お客の口に入ることが多い。
 メニューは、たいていはベジタリアンのターリ(大皿定食)かノンベジタリアンのターリ。ノンベジの場合、ビリヤニ(チキンやマトンの入ったスパイシーな炊き込みご飯)のこともある。

 ベジのターリの場合、シャバシャバの水っぽいダール(挽き割りのカレー)にやはり水っぽい野菜のカレーがひとつ、そこに野菜の香味炒め、ピックル、ヨーグルト、ごはんがつく程度。ノンベジだったら、小さな肉片の混ざったカレーが野菜カレーの代わりになるくらいだろう。

 味についていえば、スパイス感は希薄で、おざなりにつくったムードが濃厚。たぶん、家やレストランで食べさせられたら悲しくなること必至だろう(鉄道駅の食堂のターリも同様で、貧相な内容のことが多い)。

 ちなみに今回の写真のターリは、「列車弁当」としては超豪華な部類に入る。ただし、味については、やはりそれほど感動的ではなかった。

 ところで駅構内やホームでやっている露店風の軽食スタンドには、カレー、サモサ、ドーサ、オムレツなど、美味なものも多い。弁当ではなく、そんなスナック類に列車旅行中の食の楽しみを見出すインド人は少なくないようだ。

(この文を書いているときのBGM:ジョニー・サンダース&ウェイン・クレイマー「ギャング・ウォー!」)