マサラ日記     previous«  »next 

10月11日(火)

 ちょっと前に出たミュージック・マガジンという雑誌を見たら、ポール・ウェラーの特集。
 正直、スタイル・カウンシル以降はあまり入り込めない私だが(カッコいい曲を書くなあ、いいアレンジだなあなどとはレコードが出るたびによく思ったけれど、モータウンやモッズ趣味が前面に出すぎという感じもして、どこか没入できないところがあった)、ジャムの頃はよく聞いた(考えてみれば、ジャムというバンドも、初期のフーのコピーみたいなところがあった。そのあたりが好き嫌いの分かれ目か)。
 私より1〜2才年上だから、まあ同世代ということで、やはり同世代のマドンナなどと同様、今も第一線で活躍しているのはうれしい限りである。

 90年代、日本のクラブなどでもけっこうはやった曲で、INDIAN VIBESというセッション・バンド(今風にいえばユニットか)の「MATHAR」というのがある。シタールがビヨンビヨンといかにもインドなメロディを奏で、タイトな切れ味のドラムスが絶妙に絡むというダンサブルでグルーヴ感あふれるナンバーで、ミュージシャン名や曲名は知らずとも、案外みなさんも耳にしているかもしれない。
 で、何とその曲でシタールを弾いていたのがポール・ウェラーらしい。
 プレイぶりを聞く限り、なかなかやるなあという感じである。
 もともと60年代音楽への意識が高いポール・ウェラーとすれば、元クーラ・シェイカーのクリスピアン・ミルズなどと同様、サイケやビートルズ指向からインドに行き着いた可能性大だが、それにしてもかなりハマッた演奏だ。
 
 雑誌「流行通信」が60年代ファッション&カルチャーの特集をしていて、これもサイケ&ヒッピー、あるいはモッズ色などが見事に充満している。私の好きなゴダール映画のディーバ、アンナ・カリーナや、尊敬するブライアン・ジョーンズも登場するが、ポール・ウェラーのカッコよさの源泉もここらから出ているのが丸わかりという印象でもある。

 芸術の秋、温故知新ということも含め、カッコよかった時代に思いを馳せるのも一興かもしれない。

(この文を書いているときのBGM:コロニアル・カズンズのファーストアルバム)