9月1日(木)
本日発売のモス・バーガーの「タンドリーチキン・バーガー」をチェックがてら食べてみた。
ひと口めは「思ったよりやるじゃん」、ふた口めに「…なるほどね」、三口め以降は「ま、こんなものかな」。
さすがにファスト・フード系ハンバーガー業界では味に定評のある会社なので、よく研究してある。そこそこスパイシーだし、スパイシーな風味が肉自体に染み込むようにも仕込んである。バンズも、少なくともマクドナルドのパサパサのやつとは雲泥の差だ。
しかし、結局は、私が事前に予想したとおり「テリヤキチキンのスパイスを変えた製品」というところからは十分脱却できていない。
ものたりない理由はわかっている。
ほんもののきちんとしたタンドゥーリ・チキンはヨーグルトとスパイスをミックスしたマサラに鶏を漬け込み、そのマサラをヨーグルトごとある程度鶏につけたままタンドゥールで炭焼きにする。
できあがりには、ヨーグルトベースのマサラがいぶされて鶏の表面にまとわりつくわけで、それがタンドゥーリ・チキン独特のおいしさを演出するのだ。
この「いぶされたヨーグルトっぽいマサラ感」がモスのには感じられない。これを再現するのはかなり難しいと思うが、どうせなら、もう少し頑張ってほしかった。
それにスパイスの配合。これがどこかバーベキューソースっぽいというか、インド料理というより、ケイジャンかメキシカン系のニュアンスが入っているような気がしてしょうがない。
本場のタンドゥーリ・チキンづくりに必須なのは、おいしいガラム・マサラである。日本もインドも、この点で手抜きの店がじつに多い。
モスのは「いい加減な日本のインド料理店のタンドゥーリ・チキンをコピーしてしまった」ような感じがつきまとう。これもまた惜しい。
それでも、値段を考えれば、チキンについては十分敢闘賞という商品だろう。
むしろ私がチキンより変だなと思ったのは、ホワイトアスパラのマリネ。水っぽいし、半端な食感がチキンやバンズのおいしさを殺しているような気がする。
かぼちゃなどの野菜のディップというのも今ひとつ意味がないような。これなら、サルサ系の方が好きだ。
本場の「タンドゥーリ・チキン・バーガー」ならば(高級ホテルや空港のカフェなどに行けば、こういうメニューはある)、香菜やミントのグリーンチャトニ、トマト、オニオンのスライス、さらには青唐辛子やピーマン、刻んだ香菜などがタンドゥーリ・マサラのチキンといっしょにはさまれるケースが多いし、仕上げにチャット・マサラ(乾燥したマンゴーのパウダーや岩塩、チリや胡椒を混ぜたミックス・スパイス)を肉にふったりする。
もうちょっと、全体をインド的なエスニックさでまとめた方が、まだ暑いこの時期、より大きな支持を集めそうな気がするのだが、いかがだろう。