マサラ日記     previous«  »next

8月18日(木)

 地下鉄新宿御苑駅のそばにある、あきらかにパキスタン系な「インド料理店」でランチ。中野にある店の支店だ。
 中野店では去年だったか、ランチブッフェのカレーを入れ換えようとした店員のミスから服と靴にカレーをこぼされ、しかもむこうがろくに謝りもせず開き直るという非常識な目に会った。味もペケだったし、どうせここもダメだろうと思ったが、一応入ってみた。怖いもの見たさである。

 で、ここもランチはブッフェ。カレーが4種で「チキンチリ」がイチオシらしい。ところがこれがスゴい。中野店もそうだったが、タンドゥーリ・チキンにも使う赤い食紅をカレーに入れて色を強化している。はっきりいって気持ちわるい。味もチリ味ばかりで深みがないし。
 ほかには、メルルーサを使ったフィッシュカレー、チャナ・マサラ、かぼちゃのカレー。いずれもぞんざいに炒めたたまねぎとトマトがベースで、味つけの変化もなければ、香りもない。とりわけチャナ・マサラは味もへったくれもなくて悲しかった。

 カレー以外も「魚の香味揚げ」と称しながら、野菜のかき揚げである「パコラ」を出すなど、わけのわからない展開。ナーンも裏側に黒いかすがべったりついていたりで(タンドゥールの管理をきちんとしていない証拠だ)、とてもプロの仕事とは思えなかった。

 ほかに千切りキャベツのサラダやデザートの「すいか」がついて900円。チャイやラッシーのフリードリンクは別に200円をとる。当然、ドリンクには手をつけなかった。
 こんな店でも、中野店同様、それなりにお客様がいるのだから不思議(ネットを見ると、とくに中野店の評判は総じていい)。こんなものが「本場のインドカレー」と思われたらガッカリである。

 真摯な努力を日々重ねるインド人シェフの中には、「一部のいい加減な連中がインド料理をなのっているが、彼らは確実にインド料理の評判を落としている」という意見がある。紛れもない事実だと私も同意する。

 夏はカレーという感じで、テレビや雑誌、ネットでもいろいろなカレーが紹介されているが、メディアの情報はうのみにしないようにしていただきたい。人気があったりマスコミにとりあげられたからといって、ほんものの料理を出してくれるケースは予想以上に少ないというのが、私の経験則である。

 最近、ランチは当りが多かったが、今回はひさびさの大ハズレ。それでも想定内だから、あまり驚かない。

 夜、家で、豚と水菜、長ねぎ、きのこの鍋仕立て(常夜鍋風)を食べた。昼と違って大いに満足。当たり前か。

 その後、どっちの料理ショーを見たら大当たり。といっても勝負の行方ではなくBGM。関口チームがカーペンターズだったので、「これは三宅チームはサイモンとガーファンクルだな」と予想したら、まったくその通り。夏に聞く「冬の散歩道」がよかった(バングルスのカバーもいいが)。