マサラ日記     previous«  »next

8月15日(月)

 東京はいつもよりは人手が少なめ。お盆のせいだろう。こちらはあいかわらずの1日。

 数日前の朝日新聞に、今の東京のとくに夜はフィリピンのマニラより暑いことが数値的にも判明した、みたいな記事が出ていた。ほんとうにそうなのかマニラに行ったことがないのでわからないが、東京の暑さが尋常でないのは確実だ。東京が亜熱帯化しているのならば、もっとユルユルと暮らせるはず、いや暮らすべきだが、人々はみんな妙にピリピリ、トゲトゲしていて余裕がない。日本人て暗いね。
 
 やはり数日前のニュース、スリランカの外相が暗殺された。自宅のプールでひと泳ぎした後、むかいの家あたりから銃でやられたらしい。この時期、自宅でひと泳ぎできるのは豪奢な話だが、その後の結果は悲惨すぎる。今後のスリランカ全体の混乱が心配な、暑い国の熱い話題である。

 以前、日本に住むシンハラ人と話したら、「タミル人は許せない」みたいな話をされた。
 新宿のコートロッジというスリランカ料理店でも、店のスタッフに「失礼ですが、あなたはシンハラ、タミルのどちらですか?」と聞いたら、「シンハラです。この店の料理もシンハラ料理」と自信たっぷりというか、そんなことは聞くまでもないみたいな顔で返されたことがある(ここの「ゴダンバ」=南インドでいうケララ風パロータはおいしい。店の雰囲気もコロニアル風でいい)。
 それぞれみんなピースフルでナイスなスリランカの人々なのだが、国内の問題になると、何やら一筋縄でいかない気配を感じる。

 日中、日韓の関係もそうだが、みんななかよくラブ・アンド・ピースというのはなかなかむずかしい。とくに、スリランカのように同じ国の中で反目しあうのは、まわりはみんなおなじ感性や価値観だと思い込んでいる無神経な輩が多い日本ではわかりにくい話だろう。
 
 とりあえずは、隣人の食べものを素直においしいと讃えられる意識や感覚、関係性が築けるかどうか。他人の食事に尊敬を払えるようになれば、きっと世界はもっと平和になる。食とは、そういう点でもおろそかにできない重要なキーワードなのだ。バカにしちゃあいけません。