マサラ日記     previous«  »next

8月10日(水)

 昨日、仕事上の用事があって、合羽橋道具街に行った。私にとっては、音楽をやっていた頃の御茶ノ水の楽器屋街や新宿のレコード店街と並んで、この上なく心がウキウキとする場所だ。

 また「かっぱ橋」は、何となくインドっぽいところでもある。雑然と鍋釜や食器類が置いてあったり、夏なのに店によっては冷房もなく、店番の人も何となくダラーッとしている。時間が止まったような風情がそこかしこにあって、インドにもあったなあ、こんな店、という気持ちに引き込まれることがしばしばだ(インドに行かれた方は、ちょっとひなびた地元の人々御用達の本屋や日用品店を想い起こしていただきたい)。

 ずっしりとした手ごたえを感じさせる昔ながらの店がある一方、韓国料理の調理器具や食器の専門店、お菓子というよりは「デザート」むけっぽい品揃えの店もある。そんなせいか、若きパティシエ風だったり、フードスタイリスト的な若い女性客の姿も、ちらほら。東京見物の欧米人のほか、インド料理店系くさい南アジア人の姿も。
 確実に外食シーンの今を伝えるエリアでもあり、とにかく飽きさせない。近くに浅草もあるし、興味のある方はこの夏、1度はお出かけになるとおもしろいだろう。

 エスクァイア日本版の最新号が南フランスとイタリア、トスカーナ地方を中心とした料理の特集でおいしそう。やはり、暖かめな場所の料理はしっくりくる。

 昼飯、荻窪駅前にある中国人スタッフばかりの中国料理屋に入って、豚バラチャーハンを食べたが、かなりおいしくない。チャーハンが出るはるか前に、すでにさめかかった鶏くさいスープだけを持ってきた時点でダメだと思ったが、やっぱりね。プロの料理には十分なテクニックとともに、それなりの気配りも必須なのである。