マサラ日記     previous«  »next

8月9日(火)

 昨日の続き的に今、ローリング・ストーンズの『メインストリートのならず者』をCDで聴きながら、この文章を書いている。
 この作品のストーンズはいい。「タンブリング・ダイス」や「ハッピー」など名曲も多いし、演奏も泥臭くてブルージーでソウルフル。ビートルズやツェッペリンにも絶対にマネのできない孤高の世界がある。こういうのを聴くと、すっかり衝撃度のなくなった今のストーンズには興味が持てない。インパクトのあるオリジナリティがないのだ。

 さて。
 夜、帰宅して、いきなりラム・チョップにマサラをまぶし、そのまま間合いを置かずにグリルパン代わりに大きな中華鍋で焼いて食べた。やや焼き目が強くなったのは中に厚さ3センチ近いラム・チョップがあったためでもあるが、できあがりはバッチリジューシー、いい火の通り具合だった。
  
 ふつうは、こういう料理の場合、肉にスパイスなどの下味をつけた後、数時間放置してから、じっくりと焼き上げる。そうした方が当然おいしいが、本日は、まずは夕食用のラム・チョップを目前にしながら、どういう味つけで今から食べようかというのが出発点だったので、こんなスピードメニューとなった次第。

 味つけはかんたん。しょうがとにんにくのすりおろしをラム・チョップにすりこんだ後、ターメリック、カイエン・ペパー、ガラム・マサラ、塩をさらにまぶす。それだけ(ひとたらしのレモン汁やサラダ油など加えてもいい)。後はフライパンか中華鍋にサラダ油を入れ、お好きな焼き加減に仕上げればオーケーだ。

 かんたんなわりには、インドのイスラームやパキスタン料理で食べられる「バッラ・カバブ」「マトン・ティッカ」(どちらもマトンやラムの一口大カットのタンドゥール焼き。日本ではなかなかおいしいのにぶつからない)のような出来映えになった。スライスしたたまねぎにレモンをかけたつけあわせがよく似合いそうな味である。

 これにたっぷりのサラダとビールを添えて、シンプルだが豪奢な夕食となった。
 ほんとうは南インドの菜食のようにライトなメニューが猛暑の夏にピッタリなのは自分でもよくわかっているが、たまにこういう掟破りもしたくなってしまう。軽薄な雑食日本人の典型である。