マサラ日記     previous«  »next

8月2日(火)

 仕事の途中で立ち寄った高円寺。南口にあるネパール・インド料理店でランチ(861円)。
 ナーンとカレーが2種(右や野菜、左は日替わりで「チキンとナス」)、アチャール(ネパールの「大根のアツァール(スパイスのきいた漬け物)」。これはイケた)、サラダとドリンクという内容。
 見ての通り、アツァール以外はインド料理で、カレーはスムーズなグレービー(おそらくボイルしたオニオンをミキサーにかけているはず)のレストラン・タイプ。基本的にふたつのカレーは似たようなグレービーを使用しているので、同じような風味。ナーンは、正直もうちょっと弾力が欲しいなという感じだった(ナーンは「サフランライス」か「白いごはん」に変更可能で、いずれもおかわり自由の食べ放題だそうだ)。

 最近、東京では「ネパール・インド料理」「パキスタン・インド料理」などと銘打った店がちらほら見受けられるが、実際のメニューはほとんどが最大公約数的なインド料理。つまりはミキサーがけで生クリームやカシューナッツ使用の重たいカレーソースとナーンの組み合わせばかりがほとんど(中には、ミキサー式カレーで「ビーフ・カレー」とか「ポーク・カレー」までメニュー化しているところがある。いくらなんでもインド料理は名乗ってほしくない)。
 ランチにしても、ナーンとカレーの日本人好みなセットはもちろんあるにせよ、「タルカリ・ダル・バート」とか「チキン・カラヒ」といったネパールやパキスタンならではのメニューを一品ぐらい入れている、あるいはカレー自体がネパール式、あるいはパキスタン流の風味になっている店が少ないのはさびしい限りだ。

 まあ、中国料理店でも北京やハルピンの方が、本来ご当地料理ではない「麻婆豆腐」や「ホイコーロー」を、あるいは「ラーメン」をランチメニューに掲げるのがふつうだから、日本なんてそんなものだ。

 食というのは文化であり、各民族やコミュニティの存在価値の証明や誇りの源でもある。だから、外国の食文化を理解したり、自分たちの食文化をきちんと伝えることはきわめて大事なことだ。
 オーナーたちは経済との両立という点でそれができないと思い込んでいるのかもしれないが、東京の場合、最近の「南インド料理店」の盛況ぶりからすれば、ネパールなどの料理だって、より盛り上がる要素は十分にあるはず。自信を持って、「インドカレーとナーン」以外のメニューをプロモートしていただきたいものだ。