マサラ日記     previous«  »next

5月27日(金)

 国内で、きちんとハラルで屠畜した(イスラムの教えにのっとってという意味)、味のいいマトンというのはなかなか手に入らないが、「新大久保の店がいいよ」という師のことばで、とある店に行ってみた。

 ケララ州出身のイスラム教徒の人がやっているというその店は、日本的な部分がほぼ皆無。インドの安スーパーというムードの陳列状態で、各種スパイスやダール類のほか、インスタントのイドゥリ・ミックス、インディカ米、ピックルなどが多数置いてある。パラタやロティといったインドパンの冷凍もある。当然お客もアジアやアフリカの人ばかり。正直、ふつうの日本人が入るにはちょっと勇気の要る店だ。

 なるほど、製品の見た感じはいい。通常こうした店ではオーストラリアで加工したマトンが多いのだが、ここのは群馬で加工したもの。
 結局2KG(現地流では2キロではなく「トゥーケージー」といういい方になる)の骨付きマトンを買った。キロ800円だから、高くはない。まだ使っていないが、なかなかおいしそう。近々マトンカレーにしてみようと思う。

 先日、さる女性誌関連の打ち合わせをしていたら、マトンの話になった。ちょっと前だと「羊やヤギはくさい」という認識が高かったはずだが、この日、編集者やライターの方が抱いていたのは「マトン=ダイエットにいい」というイメージ。昨年の秋以降、ずいぶんこうした内容がテレビや雑誌で流れているが、それにしても変われば変わるものである。

 少し前にマトンの脳みそカレー「ブレイン・マサラ」のおいしいのを師匠につくってもらい感動したが、やっぱりこうしたものは本場の「つぶしたて」が最高(日本のは基本的にすべて冷凍品なのだ)。
 モスク近くの庶民派食堂で食べる脳みそやモツ、ひづめのカレーなどイメージはよくないかもしれないが、実際バカウマのことが少なくない。現地で体感したい味わいのひとつである。