マサラ日記     previous«  »next

5月11日(水)

 観るでもなく『ロッカーズ』という映画をWOWOWで観てしまう。

 同名の映画は、20年以上昔レゲエミュージシャン大挙出演のジャマイカ映画があって、それはかなりおもしろかったが(道ばたでたき火をしたら、燃やしていたのがハッパで、傍らにたたずんで知らずに煙を吸い込んだ連中が思わずブットンデしまうとか傑作シーン多数)、今回のは、今や俳優に転職した陣内孝則氏が昔やっていた「めんたいビート」の雄であるザ・ロッカーズというバンドを題材にした自伝的作品である。

 彼自身が監督なのだが、とにかくあまりにおちゃらけで軽いノリのヌルい作品なのでズッコケた。陣内氏がザ・ロッカーズ時代に出演した『爆裂都市 バースト・シティ』の切れ味とは大違いである。

 しかも、ザ・ロッカーズのはずなのに、やはり「めんたいビート」の雄だったルースターズ(たしか、当時は「人間クラブ」というバンド名)の曲をやたらと演奏したりする(ほんとうに昔、そうしていたのかもしれないが)。このあたりも何か変な感じがした。

 70年代から80年代に音楽をやっていた人間には「ああ、そうそう、そうだったよね」というところはあるが、やっぱり安手なつくりの映画だった。どうせだったら、ゴールデン・カップスや高田渡氏のように、ドキュメンタリーにした方が個人的にはおもしろかった(ロッカーズのドキュメントが興行的に成功するかは別問題だが。ルースターズの方がたぶんおもしろいだろう)。

 最近衛星放送では『華氏911』(遅まきながらやっと観た。日本ではつくれないタイプの映画だなと思った)、ショーン・ペンの『21グラム』とおもしろい作品が続いたが、これはペケ。かっこいい音楽映画って、日本にはホント少ない。