マサラ日記     previous«  »next

4月8日(金)

 とあるインド料理店のまかないの「ブレイン・マサラ」をご相伴に預かる。

 ブレインはその名の通り「脳みそ」で、日本で手に入るのは羊のものである。こいつをまずターメリックを入れたお湯でゆで、さらに一口大にカットする。それを調理人それぞれの秘伝のマサラで煮込むわけだ。今回は、フライドオニオンとヨーグルトのマサラ。私の大好きなイスラーム料理の典型的パターンである。

 できあがりは、白子、あん肝、あるいはなぜかかにみそにも似た独特の味わい(かにみそっぽいのはミキサーにかけたマサラの質感からだろうか)。ナーンとともにいただくと超美味。インドやパキスタンのモスク横あたりにありそうな庶民派食堂を思い出す本場の味だった。

 脳みそのほかにも、レバー、ハツ、タン、モツ、鶏の砂肝、ヤギや羊、牛のヒヅメ、などなど、インド亜大陸の内臓カレーには秀逸なおいしさのものが多い。ところが、材料の鮮度の関係もあって、日本で本場並みの味わいに出会えることはほぼ困難である。

 内臓好きの方は、この連休あたり、一年でもっとも暑いシーズンのインドに行って、内臓カレーを満喫するのがいいかもしれない。