マサラ日記     previous«  »next

3月4日(金)

 東京は朝から雪。雪がうれしいのは子どもたちや犬ぐらいか。寒いしすべるし冷たいしで、こちらはぜんぜん楽しくない。沖縄やインドの人が雪をはじめて見て感激した話などうかがったことがあるが、そうした気持ちは十分尊重したつもりでも「できることなら、私は冬でも雪のまったく降らない温かいところに住みたい」と思ってしまう。そのくせ、4〜5月のデリーやマドラスに「うわーっ、暑すぎる。暑いのはイヤだ」といっているのだから、軟弱でわがままだ。

 以前、ダラムサラに行って雪を見たら感激した。「おお、インドで雪とはスゴいぞ」。これまた、今思えば単純であるが、それだけ強烈な印象だったわけだ。

 そんなこともあってか、寒くなるとダラムサラで食べたチベット料理が恋しくなる。モモひとつにしても、日本で食べるのよりジューシーだったし(マトンの具のものには脂っこいのもあった)、きくらげやタケノコ、白菜などが入った具だくさんの熱いスープも、寒い日に食べるとこれまた格別だった。
 日本のタンメンにも通ずる汁そばトゥクパは、麺がやわらかめな点を除けば、たっぷり野菜の具と塩系スープでイケたが、やっぱりモモの方が好きだった。とくにベジタブルのモモ。店によってぜんぜん中味が違っていて、サモサの具みたいなヤツから、中国の冬菜(高菜のニンニク漬け)みたいなものが入っているのまで、じつにさまざま。蒸したのもよかったが、フライド・モモもおいしかった。

 偶然というべきか、先日福生に行ったとき、タイの人がやっているアジア〜ブラジル系食材店(さすが福生というインターナショナルぶり)で、壷に入った中国冬菜を買ったので、そいつを入れた中華おかゆをつくって朝食に食べた。雪の寒さも相まって、ちょっとだけダラムサラを思い出す味だった。